『言葉からの触手』三(閑人亭日録)

 吉本隆明『言葉からの触手』河出書房1989年6月10日初版発行を読み進めた。

《 知的な資料をとりあつめ、傍におき、読みに読みこむ作業は〈考えること〉をたすけるだろうか。 》 「(11 考える 読む 現在する」 60頁

《 すでに知的な資料や先だつ思考の成果を〈読む〉ことだけが〈考えること〉を意味する段階に(段階というものがあるとして)はいってしまったのではないのだろうか。 》 「(11 考える 読む 現在する」 60-61頁

《 精緻に〈読む〉ことがそれだけでなにごとかであるような現在の哲学と批評の状況は、この事態を物語っている。 》 「(11 考える 読む 現在する」 61頁

《 〈感ずること〉においてわたしたちの伝統はとおく深いが、〈考えること〉においてわたしたちの起源はちかく浅い。 》 「(11 考える 読む 現在する」 62頁

 「(12 噂する 触れる 左翼する」を読んだ。

《 かつて共感呪術のはじめには、狩猟や穀物の収穫の模倣行為を予行すると、じっさい狩りや穫りいれの増収をもたらすと信じられていた。 》 「(13 映像 現実 遊び」 72頁

《 精神の物象化と物象の精神化とが等価になった街区にいるとき、わたしたちは動物状態から高度な既視状態まで、人工的に心理をつくれるようになっている。つまり環界の内在化と内在の環界化とを自在に操作できるようになった。農と狩猟と漁撈とが動物状態から高度な既視状態までの、どこかの階程に収納されたような都市を、人工的につくれることは、いうをまたないほど現在では確実なことだ。 》 「(13 映像 現実 遊び」 76頁

《 だがもしかすると、映像と現実の不分明、混合、熔融現象とみえているものは、情景のことではなく時間についての錯視かもしれないのだ。 》 「(13 映像 現実 遊び」 76頁

 「(14 意味 像 運命」を読んだ。

《 それは選択を強いるような本質を、はじめからもっていないのだ。この種の一見つまらない命題は権力の問題でありうる。現在がそんな性格を強いているのだ。命題自体が表面層と深層をもち、そのうえふたつの極に分離する特徴をもつことを見極めるのは、権力を見抜くこととおなじだ。 》 「(15 権力 極 層」 84頁

《 ひと口にいってしまえば、これらの命題には現在の緊急な主題と、たぶん人類の叡智が最後に解決すべき主題とがふたつとも含まれていて、それが同時に混融してあらわれている。これを緊急の層によって判断するのも、最後の永続的な主題として深層で判断するのも、錯誤に到達するよりほかない。(引用者・略)もともとひとびとを錯誤にみちびくのを動機とするのは、どんな名目をつけても権力いがいの何ものでもない。 》 「(15 権力 極 層」 85-86頁

《 いまあの地平線にたどりつく道を照しだしてくれるのは、概していえば大文字の無意味を行使することだという気がする。

  それ以外のやり方では、ひとつひとつの振舞いに意味という烙印がおされ、あの装置からの声の虜(とりこ)になる。 》 「(16 指導 従属 不関 (イナートネス)」 90頁

《 でも徒労とみえる歩行が信じられるのは、地平線がみえること、それから徒労の影も天使の影も見捨てて、確かに歩いてきたからだ。 》 「(16 指導 従属 不関 (イナートネス)」 91頁

《 この断片集は、言ってみれば生命が現在と出あう境界の周辺をめぐって分析をすすめている。 》 「あとがき」 92頁

 吉本隆明『言葉からの触手』、読了。平明な文にして難解。何回読んだらわかるかな。昨日の白砂勝敏さんの木彫作品の魅力のありかが仄かに見えてきた気がする。

 ネット、うろうろ。

《 ま、豊洲市場の使われていないスペース全部知ってるんで、その中に陸上養殖施設の設置です。 》 SDGs建築エコノミスト森山高至(漁協建築研究家)
https://twitter.com/mori_arch_econo/status/1600812686446501888

《 産経新聞が一部敗訴、ライター大袈裟太郎さんを「暴力の限りを尽くし」と記載したのは「名誉毀損東京地裁 》 弁護士ドットコムニュース
https://www.bengo4.com/c_23/n_15374/

《 太平洋戦争は「不決断」と「空気」によって始まった~猪瀬直樹が問う「12月8日」とコロナ危機
  活かされない組織、好都合なデータ操作、リーダー不在……意思決定の欠陥は続いている/石川智也 》 論座
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2021120700010.html?page=1

《 防衛費倍増なんて歴史的な大暴挙なんだけどみなさんわかってますかね。しかも財源は増税で。 》 中野 昌宏【専門家証人尋問1月24日15:00〜 東京地裁610号法廷】
https://twitter.com/nakano0316/status/1600840035171172353

《 高齢者施設のクラスター。PCR検査と治療薬を求める悲痛な声。必要なPCR検査ができない日本の現状。この施設ではこれから亡くなる人が出る。

  PCR検査抑制と抗原検査推進という日本のコロナ対策の成れの果て。PCR検査を抑制した押谷氏を含めた専門家、政府、厚労省、医師、医クラ。貴方たちの罪です。 》 Koichi Kawakami, 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1600893134656765952