『縄文の断片から見えてくる』(閑人亭日録)

 古谷 嘉章、石原 道知、堀江 武史『縄文の断片(かけら)から見えてくる : 修復家と人類学者が探る修復の迷宮』古小烏舎(ふるこがらすしゃ)2023年8月30日 第一刷発行、古谷嘉章「序章 修復の世界への招待」を読んだ。
 https://furukogarasusha.com/book/880

《 考古遺物が美術品に類するモノとみなされて、その修復において「美的価値」が重視され、しかもそのことを修復に関わる人々が充分に自覚していないという事態がけっして稀ではないことである。つまり修復の名の下に考古遺物を美術品として見栄えの良いものに変身させてしまっている事例は思いのほか多いのである。 》 20-21頁

《 つまり残存しているオリジナルの部分については現在の状態を尊重して彩色したりするのは厳禁だが、それ以外の部分、つまり欠損している部分については、彩色を施すことが可能であるだけでなく、文様や、形そのものを「復元」することも禁じられているわけではないのである。 》 21頁

《 先史遺物の修復とは、「壊れて出土したモノを接着剤で張り合わせて元に戻す」という言葉では到底とらえきれないような複雑な選択と決断の所産なのである。 》 22頁

 石原道知「第一章 考古遺物の修復の現場から」を途中まで読んだ。実に面白い。が、時間切れ。明日に持ち越し。