香菜里屋を知っていますか

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店へ寄る。先月25日に紹介した事例を目撃。

《 今年に入って増えているビームセドリは、小型バーコードリーダーを使って、2段バーコードを読み取ることで、作業効率を高めているようだ。棚のすべての本をサーチすることを全頭検査というと聞いて笑ってしまった。それにしても、2段バーコードがまさかこんなカタチで使われる時代が来ようとは思わなかった。》

 中年の男女、女が全頭検査、男はカゴ持ち。目の当たりにして、なんか拍子抜け、手ぶらで出た。

 東京新聞朝刊に味戸展の記事が載る。さっそく女性から電話「味戸さんはいつ来館されますか?」。三月になるでしょうと答える。

 北森鴻『香菜里屋を知っていますか』講談社2007年初版を読んだ。『花の下にて春死なん』『桜宵』『螢坂』に続くビア・バー香菜里屋シリーズの最終巻。香菜里屋の意味が解き明かされる。ロマンだなあ。カナ、カナ。三島市の男性と別れて北国へ帰っていった若い女性を思い起こさせる。住所録に残された彼女の手書きの住所に、彼女はまだ一人で暮らしているのだろうか。

 この本でも美味しそうで料理したくなる食べ物がつぎつぎに出てくれるが、今回も省いて気に入った寸言を。

《 ほんの小さな日常の欠片(かけら)があるか否か、それだけで人の幸福は左右される。》「プレジール」

《 バーとは時間を置き去りにすることができるらしい。》「プレジール」

《 変化はいつだって些細なことから始まる。予兆は人に気づかれることなく提示され、思わぬ形で開花する。》「終幕の風景」

《 始まりはいつか終わりへと繋がる約束のようなものだ。》「香菜里屋を知っていますか」

《 終焉はまた開始への約束でもある。》「香菜里屋を知っていますか」

 みごとな結末だ。この四冊、再読疑いなし。

《 「キミは、どうしてそんなにも口が減らないかな」

  「口が減ったら、おいしいものが食べられなくなるもん」》「香菜里屋を知っていますか」

 先だってテレビで知った川柳。

《 ヨレヨレが素早く動くバイキング 》