「信じゆく街」

 ある場所、地域、国には歴史上の黄金時代がある。繁栄の時が過ぎて、あの時代が黄金時代だったと 気づく。それは常に回想において語られる。日本の場合はいつだろう。K美術館では2003年、 「新宿・言葉・JAZZ」という題で企画展を催した。新宿に象徴される時代を回想する催し。 追慕ではない。
 http://web.thn.jp/kbi/zz1.htm

 昭和四十年代が新宿の黄金時代だった気がする。脳天気な欲望と絶望と期待が坩堝のように混沌として、 火傷するほどだった。そこを舞台に状況劇場、浅川マキと藤圭子の登場は、なんとも象徴的だった。 六本木とも渋谷とも違う新宿──信じゆく街。信じられなくなり、いつしか離散していった人たち。 加藤郁乎、種村季弘中井英夫……。離散……今はフクシマか。フクシマとオキナワ。その対蹠的な。

 昨日の毎日新聞夕刊「田中優子の江戸から見ると」結び。

《 江戸時代の人々にとって、ものづくりの技術の向上とは、可能な限りものごとを制御することだった。 そもそも、ものづくりとは自然を人間社会の中に導き入れることであり、それは人間の生命と生活のため なのだから、生命を脅かすものや制御できないものは価値がないのである。ならばなぜ日本人は、 自ら被曝しながら、そして制御できないと知りながら「核と生きる」ことを選択したのか?  運命などではなく個々の選択にかかっていることを、この8月にこそ考えたい。 》

 「ならば日本人は」と田中は大きい網をかぶせているが、そのことばからは敗戦後の一億総懺悔 と同様の戦争責任問題からの逃走を感じる。原発賛成・誘致派の人々の考えこそ私は知りたい。 そこからしか展望は(展望があるとすれば、だが)開けないと思う。

 ネットの見聞。

《 当日は、13時30分から田中総長と牧野市長による調印が行われ、その後、飯田市出身で 本学社会学部を卒業した北一明氏の陶芸作品11点の贈呈式、ならびに報道機関への記者会見が 行われました。 》 法政大学 地域研究センター
 http://www.hosei-hurin.net/news/view.cgi?id=350&code=a

 田中優子総長から贈られた作品の具体的内容を知りたい。北一明……加藤郁乎、種村季弘中井英夫。 皆逝ってしまった。黄金時代は終わっていた、ようだ。そして次の時代が始まる……か。萌芽は何処に。

《 平和公園、平和記念式典なう。
  小学生の平和への誓いに拍手のあと、安倍総理のスピーチには誰一人拍手する人なし。  》

《 「過去にやった非道な行いが問題なのではなく、それを嬉々として語る現在が問題なのだ」  》

 毎日新聞夕刊、近藤勝重「しあわせのトンボ」から川柳を少し。

   水呉れるのああうれしいと死んでゆき

   火ぶくれの吾子(わがこ)を妻はよく見分け

   仰向けに虚空をつかむ父を焼く

   戦争は反対だった顔ばかり

   今だからいふがと彼も自由主義

   先代は戦死、当主は突然死

 ネットの拾いもの。

《 テレカが公衆電話に突っ込むカードだと分かったけど、これから先の人生で使う機会がなさそう。 まず公衆電話の使い方すら危うい。 》

《 「テレカはSuicaみたいにチャージできないから使い捨て」 と聞いてさらに自分の無知さに震えが止まらん。 》

《 もういい 頼むから恥を上塗りしないでくれ。 》

《 近所のスーパーで、900mlで58円という激安のアイスコーヒーを見つけたので 買ってきてみたのだがすごく不味いです… 》