『1945 予定された敗戦』つづき

 小代有希子『1945 予定された敗戦』人文書院を読了。通説が覆されてゆく驚き、というかある意味 快刀乱麻を断つ快感。そうだったのか、戦争。膨大な一次資料から見えてくる異貌の戦争指導層と民衆。

《 ソ連の対日参戦が、朝鮮から中国をまたいだ戦後東アジア全体のあり方を大きく定義することを察知した 日本の戦争指導者たちにとって、ソ連参戦前に日本が降伏することは、問題外となっていった。 》 219頁 「第5章 対米戦の終結方法」

《 これまでの記録から見て、ソ連の対日参戦が東郷外務大臣をはじめとして最高戦争指導会議構成員にとって 「予期せぬ驚き」ということはありえない。しかし戦後に広まった神話では、ソ連の参戦は「驚愕の裏切り」 として受け止められたことになっている。 》 243頁「第6章 日本の降伏と植民地帝国の崩壊」

《 日本の指導者・戦略指導者たちは、中国の戦後を考える際、中国共産党の成長に注目し、毛沢東はやがて 中国統一を成し遂げると考えた。しかし朝鮮については、戦後どうなっていくのか誰も予想することが できなかった。 》 262頁「第6章 日本の降伏と植民地帝国の崩壊」

《 ただし日本はアメリカとソ連の間で生き延び、再び成長することばかりを考えすぎた。そして、 アジア大陸での戦争がどう終わったのか、植民地帝国はどう崩壊しその後何が起こったのか、考え続ける 課題のほうを、いつのまにか放棄してしまった。その結果、中国での内戦の行方、二つの朝鮮の問題は、 日本人の世界から急速に消えていった。 》 278頁「第7章 消えた『戦争と終戦』の記憶について」

《 さらに戦後日本人の意識からどんどん消えていってしまったのが、大戦中の外交において、日本政府と 軍が共産主義に対して柔軟で実利的な対応をしていた事実である。 》 283頁「第7章 消えた『戦争と終戦』 の記憶について」

《 そもそも日本とアメリカが衝突したのは、満州国を中国に返還し日中戦争をやめるようにと、アメリカ 政府が最後通牒(と日本政府が考えた声明)を提出してきたことから始まったのだ。ところが日本の満州支配を 終わらせたのはソ連であり、中国を日本から解放したのはアメリカではなかった。太平洋戦争の終結、つまり 「バーンズ回答文」を日本が受諾したことは、太平洋戦争の始まりの原因解決と何の関係もないことは、 考えればわかる。しかし誰もそのような因果関係の矛盾を思い出すこともしなかった。 》 303-304頁 「終章 『ユーラシア太平洋戦争』理解のために」

《 大戦中の日本人が、国際情勢の移り変わりをよく理解して機敏に対応し、アメリカとソ連の対立だけでなく 中国の内戦の行方もかなり正確に予測していたことを、現代の日本人は知らない。 》 315頁「終章  『ユーラシア太平洋戦争』理解のために」

《 当時の日本の指導者は、集め得る情報に基づく最善の判断をしたのだろうか。中国や朝鮮の内情について、 あれほど情報を持っていたのなら、なぜ戦後、手のひらを返したように、アジア大陸に背を向けてしまったのだろう。  》 363頁「あとがき」

 戦争史、戦後史に巨大な一石を投じた力作だ。波紋はどこまで広がるだろう。

《 使用尽くされた感のある資料も、注意深く読み直すと見落としていた事実が見つかる。既成概念を持って 資料にあたると、探したいことしか目に入ってこず、なじみのない事項は無意識にその存在を拒絶してしまう 心理作用が原因だ。 》 16頁「序章 『ユーラシア太平洋戦争』と日本」

 ネットの見聞。

《 国連の「表現の自由」調査を拒否! 安倍政権が国際社会から隠したがった“報道への圧力”全事件簿 》  LITERA
 http://lite-ra.com/2016/01/post-1862.html

《 【カメオ出演】 映画や演劇などで、短い時間で強い印象を与える登場のしかた。多く、大物俳優や著名人が端役で 出演する場合にいう。 》

 映画、演劇はほとんど観ない。故に知らなかったのか。あるいは……。

 ネットの拾いもの。

《 中国経済に依存してるのに、中国を仮想敵国として軍国化を進める。だから、日本が本格的に 軍国主義の国になったら、三菱なんかあっという間に米に潰されるって分からんのだろうなあ。 あの知能では。 》

《 アベノミクスは富裕層のための政策、そう言われ続けてきたが、ここまで破綻したら 誰のための政策でもあるまいに。 》