『故郷の水へのメッセージ』つづき

 『故郷の水へのメッセージ』で最も印象的だった詩「凧の思想」全篇。

《  地上におれを縛りつける手があるから
   おれは空の階段をあがつていける


   肩をゆすつて風に抵抗するたびに
   おれは空の懐ろへ一段一段深く吸はれる


   地上におれを縛りつける手があるから
   おれは地球を吊りあげてゐる     》

 『故郷の水へのメッセージ』は、故郷(こきやう)、水(みづ)と旧仮名遣いのルビ。漢字は旧漢字ではなく 今使われている常用漢字

《  ミドリといふ語は、古語本来の意味においては、色の
   名でなかつたといふ。それは新芽や若枝をいふことばだ
   つた。  》
 「そのやうな女たちよ、どこにゐるのか」

 この詩集の出版社花神社にも「くわしんしや」とルビ。「あとがき・独白」から。

《 私はどこから眺めても自分が「昭和の子」であるのを感じる。 》

 大岡信は昭和六年(1931年)生まれ。彼が「昭和の子」ならば、昭和二十五年(1950年)生まれの私は 「昭和後期の子」だ。戦争を挟んだこの二十年ほどの違いは決定的だが、「平成の子」とも隔絶している。 世代論はさておき。大岡信の詩集をみると、『悲歌と祝祷』青土社1976年から旧仮名遣いになっている。四十五歳、 なにか転回があったのか。旧仮名遣いを現代仮名遣いに変換して読むと、かなり違った印象になる。この違いは 面白い。丸谷才一の影響かなあ。旧漢字、旧仮名使いを貫いた歌人塚本邦雄。ネットの書き込み。

《 塚本邦雄の本は、高価なのではと思っている方へ。アマゾンで検索してみてください。思わぬ作品が、 思わぬ安価で売っています。業者の方は、正字正仮名遣いの本は、今の読者には読めないと、 判断されているのではないでしょうか。あなたの想像よりも、下の値段がついています。いまが、チャンスですぞ。 》

 本は、アマゾンには264件。日本の古本屋には3,412件。どこから手を付けていいのか、気が遠くなる。旧漢字、 旧仮名使いのほうが味わいがあって好き。特に泉鏡花といった作家のものは。

 ネットの見聞。

《 沢渡さんが昔、秋吉久美子を撮った写真集が近く出るとか。「高畠華宵はその時代と切り離せない画家だけど、 竹久夢二は現代でも通る。彼もそういう写真家だな。」 》 宇野亜喜良の発言
 http://chitaneko.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/index.html#entry-105583851

 高畠華宵の絵は古臭く感じる。「その時代と切り離せない画家」というより活躍した時代に縛られた画家だ。 時代の制約を超えて活きている絵こそ私の求める絵。小原古邨しかり、安藤信哉しかり。現在新鮮、斬新である絵が、 後世古臭く感じるか否(時代を超える)か、将来を見通す判断はじつに難しい。これは賭け。面白い。

《 ところで、戦時下のメディアも大本営発表だけをコピペしていたわけではなく、「公式発表をベースに」しつつ、 独自の記事を配信していたんです。でも、「公式発表をベースに」すると、独自の記事もそれを側面支援する形に なってしまう。だから、「公式発表をベースに」という要請は問題なんです。 》 辻田 真佐憲
 https://twitter.com/reichsneet/status/724503392521871361

 ネットの拾いもの。

《 昨日の万歩計見たらなんと12キロ歩いてた。朝起きたら凄まじい日焼け。自業自得とはいえ、どうしよう。 》

《 わーん、むちゃくちゃや。のぞみ最終の切符なくした。品川駅で発車2分まえに気づいた。わーんわーん。 》