『ぽるとがるぶみ』(閑人亭日録)

 北村薫『遠い唇』角川文庫2019年初版、天野慶の解説に堀口大學訳のマリー・ローランサンの詩『鎮静剤』が取り上げられていた(208頁)。好きな詩なので堀口大學訳詩集 『月下の一群』講談社文芸文庫1996年初版を開き、「鎮静剤  画家 マリイ・ロオランサン」を味わい、カバー(ジャケット)裏の刊行本を見ると、佐藤春夫車塵集│ ぽるとがる文』が。佐藤春夫譯『ぽるとがるぶみ』人文書院昭和二十四年十月三十日初版發行 昭和四十九年八月二十日重版發行(新装版)前半を読んだ。

《 ポルトガル尼僧よりその不実な恋人に宛てた愛の書簡。不幸な女の切なる嘆きと献身、ついに崇高な美に浄化した、類なく永遠の女性の姿。 》 帯の文。

《 この書は年のうちに再版した。〔中略〕独逸のコロンでも刊行せられた。 》 佐藤春夫「ぽるとがるぶみ由來記」 24頁

《 翻譯者ギュイラックといふのはピエール・ジラアドン・ド・ギュイラックであって、「ガゼット・ド・フランス」誌の社長であったが、この人は爛熟しきつた王朝文化 時代の代表的才人であつた。〔中略〕彼の此譯筆は一見頗る拙劣であるが、この古今獨歩の手紙はたとひ流暢を犠牲にし苦澁を忍んででも逐語的に譯出するより外に、 これが精神を、生々しい眞實を、特有の感動の旋律を傳へる方法がないことを知つてゐたのは流石に才人の名を辱めないと言ふべきであらう。 》 佐藤春夫 「ぽるとがるぶみ由來記」 25頁

《 始めてあなたさまにお目にかかつたその瞬間からわたくしの命はあなたさまにお捧げ申したのでした。 》 「最初の文」 45頁

《 わたくしは戀に死ぬと感じて満足にも存じましたし、その上にまたあなたさまにお別れしてゐる辛さで心の引千切られるのをもう無理に見てゐないで済むかと思へば うれしうございましたものを。 》 「最初の文」 49頁

《 わたくしの運命に少しでもお心づかひがございますなら、折々にはお手紙を下さいまし。 》 「最初の文」 53頁

《 何とわたくしの心と愛情との深さを御存じのあなたさまが、よくまあわたくしを永久にお棄てになるお氣になり、さうして只新しい欲情の犠牲に供へるためにだけ わたくしを思ひ出して居られるのではないだらうかなどと考へさせるやうな怖ろしい目にわたくしを逢はせるそんなお氣に、よくもおなりになされたものでございますね。  》 「第二の文」 65頁

《 噫、自分の心を一杯にしてゐる極度の憎と愛とを外にして何をわたくしは致しませうか。 》 「第二の文」 67頁

 明日へつづく。

 朝、源兵衛川中流、三石神社脇の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。重くなり三十分ほどで終了。帰宅。汗ばむ。朝食。文字通り朝飯前の一仕事。

 ネット、うろうろ。

《 古本者は同じ本を買う

  ステージ1 初版、帯等へのこだわり
  (版が違えば別の本なので自覚症状がない)
  ステージ2 布教のため
  (信仰の自由。でも布教しない)
  ステージ3 俺が買わずに誰が買う
  (百万冊の本の上にオレは立っている症候群)
  ステージ4 書庫から探すより速いから
  (床余命三ヶ月) 》 猟奇の鉄人
https://twitter.com/kashibaTIM/status/1330053062417936385

《 世界的に伝染病が流行している最中に「どんどん旅行や外食に行こう」と推進したら何故か伝染病の患者が増えて困惑する政府があると聞いたのですが本当でしょうか。  》 ふぎさやか
https://twitter.com/maomaoshitai/status/1329810197095714817

《 首相、感染拡大でも記者会見開かず 》 産経新聞
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6377156

《 仕事柄、フランスのメディアもよく見てるけど、時差があるから、朝一にTLを遡って見ると、最近は、嫌と言うくらい、マクロンマクロンマクロンマクロン、 演説してたり視察に出てたり会見してたり、そりゃ、あれこれ危機だからね、でもさー、うちらの国も第三波だっちゅーに、総理大臣は何してるわけ? 》 buu
https://twitter.com/buu34/status/1329815835792183296

《 なぜに今の日本人って
  コロナ禍 → 観光業、飲食業、商店街が大変
  →経済回せ
  となるのだろうか?

  コロナ禍 → 1にも2にも補償 コロナ対策の徹底
  →対策やらない政権批判

  とならない

  実に単純な話なのに、なぜに自分で何とかしろという発想に行き着くのか、全く理解に苦しむ 》 ヤン・ウェンリー提督
https://twitter.com/yangwenli920820/status/1329707024196669440

《 菅政権のコロナ対策を見ていると、75年前になぜ戦争に負けたかよくわかる。オリンピック開催が国体護持と本土決戦、ワクチン開発が神風、竹槍戦術に代わって マスクしながらご飯を食べる方法を開発。主観的願望を現実と思い込み、精神主義で問題解決ができると錯覚する。それを批判する者は非国民 》 山口二郎
https://twitter.com/260yamaguchi/status/1329795236009103360

《 「この問題は視点が大事なのです。政権を握っているから後援会員を呼んでも仕方ないとみるのか、これは政権による行政の私物化とみるのか。 それによって見える景色が180度違ってくる」

  ジャーナリストとしての誠実で真摯な自戒。

  赤旗はなぜ桜を見る会をスクープできたのか 》 小池 晃(日本共産党
https://twitter.com/koike_akira/status/1329918589533491200