歌人の松平修文氏から絵葉書。10月10日11日に触れている歌集「蓬」の感想文へのお礼。ちょっと紹介。
「先日いただきましたお手紙にありました栞文の四氏の引用歌と貴下の選ばれたものが、全く違う点ですが、私が自分で選ぶとしたら、貴下の選ばれたものと殆ど合致します。お手紙を読み終え、私は愉快で、一人で笑いました。」
この歌集で一番好きな歌はこれ。
石階にてすれ違ひし少女は夜の街へ下りゆく 新しき神話のやうに
「蓬」収録歌に他の歌人の歌を付けるお遊びをしてみる。
植物園はいづこに移りしや 草木とともに鳥や虫や魚も連れて行きしや 松平修文
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さびしくて画廊を出づる画のなかの魚・壷・山羊らみな従へて 中城ふみ子
梅雨の街をとほりこちらへ来るひとの赤き傘二階の窓より見えて 松平修文
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ゆっくりと傘を閉ぢゐるひとの背に風の姿(かたち)のふとあらはれつ 久保和彦
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傘ひらくときはちきれる紺色のジャケツ少女の未来は情死 福島泰樹
生は無意味にあらざるといふ確信を一生(ひとよ)をかけて得むと思ひき 松平修文
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海ホテルとおく他界のごとく昏れけぶりたつ けぶりてをゆかな一生(ひとよ)は 下村光男
午前中はさいたま市からの視察四十人ほどを三人で担当。午後美術館へ。