歴史とは何か

 洗われたような晴天。初夏の陽気。昨日引用した短歌、

《  猟銃のごと美しき弟(おと)あらば風吹ける夜のいづこに歩む  葛原妙子  》

 に、飾画家宇野亜喜良を連想。高橋睦郎は書いている。

 《 背がけっして高いというわけではないが、色の黒い痩身の獣皮の鞭のような人がそこにあった。剃刀のような、蜥蜴のようなするどいイメージもあった。》「宇野さんのこと」

 E・H・カー『歴史とは何か』岩波新書2008年75刷を読了。

《 もちろん、事実と文書とは歴史家にとって大切なものです。けれども、事実や文書を祭り上げてはいけません。事実や文書が自分で歴史を形作るのではないのです。》21-22頁

《 歴史とは解釈のことです。》29頁

《 ある社会がどういう歴史を書くか、どういう歴史を書かないかということほど、その社会の性格を意味深く暗示するものはありません。》60頁

《 偉人は一個の個人ではありますけれども、卓越した個人であるため、同時に、また卓越した重要性を持つ社会現象なのであります。》75頁

《 歴史がいろいろの時代に区分されるというのは、事実ではなくて、必要な仮説、あるいは、思想の道具であって、それが光を当てる限りにおいて有効なもので、その有効性は解釈の如何によるのです。》86頁

《 あることを不運として描くのは、その原因を究めるという面倒な義務を免れようとする時に好んで用いられる方法であります。》150頁

《 何か望ましいものという抽象的な規準を設けて、それに照らして過去を非難する以上にひどい誤謬はありません。》 191頁

《 科学にせよ、歴史にせよ、人間現象における進歩というものは、もっぱら、人間が既存の制度の断片的改良を求めるにとどまることなく、理性の名において現存制度に向って、また、公然たると隠然たるとを問わず、その基礎をなす前提に向って根本的挑戦を試みるという大胆な覚悟を通して生まれて来たものであります。》232-233頁

 ネットのうなずき。

《 人間、ほんと、いつ死ぬかわからないのである。

  50代半ばになったら、そろそろ死んだあとのことを考えたほうがいいだろう。

  コレクション一代。コレクターが独身でも妻帯者(子持ち)でも同じこと。》

《 技術陣も原子力安全委員会の委員は事故の責任をとらず、まだ任務についていて報酬ももらっている。このような子供のような責任の取り方で原発を運転するのは危険である。》

 ネットの見聞。

《 新幹線は今、品川に停まってますが、あたしのハナミズ(花粉症)はノンストップで爆走中です。》