検証・昭和史の焦点

 保阪正康『検証・昭和史の焦点』文藝春秋2006年初版、前半を読んだ。読みやすい文章ですいすい読めるが内容豊富、一話読んでは本を閉じ、しばし考え込む。戦前の出来事が昨今と二重写しになる。全二十一話の前半十話を読んだ。

「第3話 帝人事件は『検察ファッショ』を促したか?」

《 しかしこれが偽りの疑惑による裁判だとわかっても、ひとたび社会に報じられている以上、しかもあたかも一大疑獄事件と既成事実であるかのように報道され続けたのだから、国会にも社会にも大きな波紋を呼ぶことになった。 》

《 こうして事件の全容を検証してみると、すぐにわかることだが、検事たちの何としてもこの事件を政治的に拡大しようとの意図が窺える。 》

 小沢一郎をめぐる事件。

「第8話 三国同盟の真の演出者とは?」

《 ヒットラーにすれば、三国同盟アメリカの対応を見るために組んだにすぎず、アメリカが自らの意思に即していないと知って、すでに関心は失っていたのだ。当時の国際社会はこういう冷徹さのなかで動いていたし、それぞれの国の指導者は権謀術数を駆使しての戦いをつづけていたことになる。 》

 TPPの交渉。

「第9話 日米開戦と石油備蓄をめぐる謎」

《 こうしてみてくると、東條内閣のもとでは石油がどれだけ足りないか、足りない分の石油をいかにして調達するか、という真剣な議論がなされた形跡が見当たらない。開戦しなければあと何年でストックがゼロになるジリ貧論、開戦して南方から石油を取得することによって国力が維持できるという希望的観測が話し合われただけで、開戦以外にどんな方法で石油供給を図るかということは、まったく論じられていないのだ。 》

《 大本営陸軍作戦部にいたってはこんなことを論じていること自体不満だった。戦争指導班の『機密戦争日誌』には、まず戦争を決心しろ、こんなことを論じているときかという不満が露骨に綴られている。石油がどれだけ備蓄されているかなどという議論は「(戦う)決心」を鈍らせるというのだ。 》

《 「石油がなくて戦争にふみきった日本」──実は誰一人その正確な数字を知らなかったという驚くべき事実だけが浮かんでくるのである。 》

 政府の今の政策論議原発から財政再建)、麻生副総理の「ナチス発言」……。

 昨日の毎日新聞、コラム「時代の風」は西水美恵子「ブータン政権交代」。

《 今年は、「南洲遺訓」にある西郷隆盛の言葉を反すうさせる時が流れた。「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり。此も始末に困る人ならでは、艱難を共にして、国家の大業は成し得られぬなり……」 》

《 「始末に困る」人々がなす政権を選んだブータンが、心底羨ましい。 》

 同感。そのコラム横の「仲畑流万能川柳」秀逸。

《  死んだ気でやれば死ぬかもしれぬ齢  恋し川  》

 全然知らなかったブーム。うたの☆プリンスさまっ♪早乙女学園購買部 in 新宿マルイワン2013夏。

《 そして今朝、またしてもとんでもない長蛇の列ができていた。
  新宿3丁目の交差点から2丁目の交差点まで伸びた列がそこから折り返して世界堂の前を抜けて、バルト9の横から新宿御苑方面に続いていた。その列がはたしてどこまで伸びていたのかは知らないが、初日をさらに上回る長蛇の列となっていた。
  しかも、店頭には「徹夜禁止」の貼り紙まで貼られているではありませんか。
  そんなにすごいのか、「うたの☆プリンスさまっ♪」というのは!?
  娘に聞くと「気分が悪くなるくらいものすごい人気」なのだという。ぜんぜん知らなかったよ。 》 大丈夫日記

 ネットの拾いもの。姫野カオルコ、長岡の花火大会の感想。どう解釈するか。

《 すごい人手だった。 》