2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

掌上のオブジェ(閑人亭日録)

縦横2センチほどの木片ブロックの上面に内野まゆみさんは面相筆で草木や模様を描き、裏面に1円玉程の磁石を接着し、メモ紙を冷蔵庫に留めるモノを作っていたが、 それに私が源兵衛川から回収してきた茶碗のカケラ(1センチほど)を貼り付けたモノを初めて…

『白と黒のうた 二十一歳』再読(閑人亭日録)

東君平『白と黒のうた 二十一歳』サンリオ一九七五年五月十日初版を再読。 https://tomsbox.base.shop/items/65982780《 「白と黒のうた」 ぼくのうた 白と黒のうたは しろうとくろうのうたです 素人苦労のうたと書きます 》 46頁《 「風」 風は みんなに吹…

『100杯目の水割り』再読(閑人亭日録)

東君平『100杯目の水割り』講談社文庫1979年7月15日第1刷を再読。短文のエッセイの題は「○○さんち」。文筆家、画家から市井の人たちの人物スケッチ集。 最初が写真家の土門拳「土門さんち」。「三島さんち」は三島由紀夫宅へ訪問したときのこと。《 講談社の…

『寵歌』(閑人亭日録)

塚本邦雄『自選歌集 寵歌』花曜社1987年11月20日初版を開く。栞紐は丁寧にも色違いの二本。流石、塚本邦雄。いつ読んだか、付箋が林立。辿ってみると、殆どが 西洋の芸術家を詠んだ歌だった。ルオー、ボッシュ、ピカソ、ダリ、ルドン、ゴッホ、レオナルド・…

略語(閑人亭日録)

昨日、富士宮へ行く車から富士信用金庫、富士宮信用金庫が目に入った。地元の人はそれぞれ「ふじしん」「みやしん」と呼ぶ。そりゃ間違えなくていい。三島では 三島信用金庫を「さんしん」、静岡銀行を「しずぎん」、静岡中央銀行を「しずちゅう」と呼ぶ。ま…

白砂勝敏 林由紀子(閑人亭日録)

午後、吉原駅で知人の車に友だちと同乗。富士宮市の白砂勝敏展「マノスベ」へ。 https://shirasuna-k.com/blog/tag/%e3%81%9f%e3%81%93%e3%81%be%e3%82%93/ 展示場の築百年を超えるという長屋門の畳の部屋は、白砂さんの石とセメントの作品を見事に際立てて…

『愛憎』(閑人亭日録)

深沢幸雄『愛憎』銅版画 1961年(18/20)を見る。山梨県立美術館の深沢幸雄展図録1991年に掲載された『愛憎』に惚れ込んで幾星霜。何年か前にやっと入手。折々に 鑑賞している。 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/519177 二年前に書いていた。 http…

『真美大観 第八册』(閑人亭日録)

『真美大観 第八册』 編輯兼發行者 田島志一 發行所 日本眞美協會 明治三十五(1902)年十一月廿五日發行 ソフトカバー。大判の本を開く。 白黒写真版担当は、関西寫眞製版印刷合資会社。明治37(1904)年10月に田島志一 編輯『若冲名畫集』を出した会社だ。…

『睡眠博物誌 夢泥棒』再び(閑人亭日録)

赤瀬川原平『睡眠博物誌 夢泥棒』新風舎文庫2004年2月5日初版第1刷発行を久しぶりに開く。 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784797492149 元本は1975年5月15日に学藝書林かから刊行。何といっても「睡眠海岸」「睡眠階段」の章の挿絵がいい。それを…

『東洋美術大観 一』(閑人亭日録)

『東洋美術大観 一』編輯兼發行者 田島志一 審美書院 明治四十一(1908)年八月二十五日發行を開く。飛鳥、奈良、平安時代の美術品を収録。この時代の絵画など 若い頃は古臭~と偏見をもっていたが、この本の極精細多色摺木版画を目の当たりにすると、瑞々し…

『サン・ハウス&チャーリー・パットン』(閑人亭日録)

台風14号は肩すかし。接近前は雨は通り雨。昨夜から今朝の最接近では静か~。傘の出番がなかった。晴れ間、曇天、雨。家こもり。 『甲高い声、早送りしたような音。ロバート・ジョンソンなど戦前ブルースに感じる違和感。’ハヤマワシ’の真実を菊地明が語る…

「芸術の条件」(閑人亭日録)

芸術の条件を書き留めておく。ひとつの、暫定的な私的見解。 「制作者の気韻生動が、振動、波動となって、鑑賞者の心の奥深くに届き、鑑賞者の眠れる生気、正気(せいき)の覚醒を促す作品が、私にとっての芸術である。」 註: 正気(せいき)=天地間存在す…

木版画図版と一枚物木版画(閑人亭日録)

雑誌『國華』や審美書院の美術本から切り取られた木版画図版一枚と、小原古邨などの一枚ものの木版画は、小原古邨などの一枚もののほうがずっと高い値段。本から 切り取られた図版を額装すると、木版画の価値の優劣は付きかねると思う。額装した、小原古邨の…

『美術聚英』第十册、第十一册(閑人亭日録)

『美術聚英 第十册』審美書院明治四十四年十月十二日發行は、編輯兼發行「株式會社審美書院代表者田島志一」。 『美術聚英 第十一册』審美書院明治四十四年十二月八日發行は、編輯兼發行「株式會社審美書院代表者和田幹男」。 明治四十四年十月には、田島志…

『田島志一君演説』(閑人亭日録)

小冊子『田島志一君演説(紙器に就いて)』(大正六年九月廿五日於第五十九回信用調査會)を読んだ。《 私が初めて紙器と云ふものに指を染めましたのは大正元年の春でございます。 》《 私が是非とも之をやりたいと思ひましたのは、歐米に参つて見ますと、彼…

『大地の五億年』三(閑人亭日録)

藤井一至(かずみち)『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』ヤマケイ文庫2022年7月5日初版第一刷を読了。これは名著だろう。結び近くから。《 本書をよ要約すれば、決して楽園ではない土に、必死に居場所と栄養分を求めてきた植物・動物・人間の試行錯…

『大地の五億年』二(閑人亭日録)

藤井一至(かずみち)『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』ヤマケイ文庫2022年7月5日初版第一刷を少し読んだ。《 2億年前の多雨湿潤な条件で広がった酸性土壌に適応することで、針葉樹は地上を制覇し、恐竜とともに繁栄した。(引用者・略) 2億年前…

『大地の五億年』(閑人亭日録)

藤井一至(かずみち)『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』ヤマケイ文庫2022年7月5日初版第一刷を少し読んだ。笑いもある簡明な文章。知らないことだらけ。 これはいい。 https://www.yamakei.co.jp/products/2822049430.html《 酸性雨以上に強い力で…

「音の文明」(閑人亭日録)

下のツイートから連想されるのは、西洋美術は「文字の文明」のもとにあり、昨日の拙稿(思いつき?)は、「音の文明」のもとにあるように思える。私が惹かれる絵画、 立体作品は、「音の文明」の範疇にある気がする。クラシック音楽にはさほど惹かれず、欧米…

ゆらぎ、振動(閑人亭日録)

「隔たりの君臨」を貫いて往来する何かがある、と考えたい。それはゆらぎ、振動、共振と呼ばれる現象。人間の間で言えば共振、共鳴、同調か。振動といっても、 その周期は一秒以下から数年、数万年を超えるモノまで考えられる。このあたりは哲学者に委ねたほ…

隔たりの君臨(閑人亭日録)

「隔たりの君臨」。この言葉が、半世紀あまり私の思考の基盤になっている。孤独とか孤立とか孤絶といった言葉の背景に「隔たりの君臨」がある。私の人生観、世界観の 基盤となっている。というか、心身深く染みついてしまっている。 冬の波冬の波止場に来て…

小鳥たち(閑人亭日録)

二階のベランダにキジバト、子スズメが小鳥の餌を啄んでいる。家の中ではインコがちょこちょこ歩いている。小鳥たちの動きを眺めて一日が過ぎていく。 英国のエリザベス女王の葬儀は10日後にウエストミンスター寺院で・・・。日本の・・・。 ネット、うろう…

『屍人荘の殺人』(閑人亭日録)

今村昌弘『屍人荘の殺人』東京創元社2018年1月5日六版を読んだ。帯のミステリ作家たちの煽り文句に苦笑い。幕開きからライトノベルのノリでズッコケ、苦笑い。 明智恭介という名前にも苦笑。明智小五郎(江戸川乱歩)と神津恭介(高木彬光)。著者はよくワカ…

『御教訓カレンダー大全』つづき(閑人亭日録)

『御教訓カレンダー大全』PARCO出版一九九一年九月一日初版、左カバー裏の御教訓、つづき。《 股見に来てね──ストリッパー 「産む」を言わせない 老いるショック 記憶正しく 弱い者みじめ え~い!乗ってけ泥棒!!──パトカー まっ!ぶたの母 転んでも…

『御教訓カレンダー大全』(閑人亭日録)

『御教訓カレンダー大全』PARCO出版一九九一年九月一日初版は、昨日の『大語海』の続編のようなもの。大きさはは新書判で同じだが、493ページと厚い。 背の帯文。《 御教訓カレンダー 16年分が一冊に! 》 表面帯文。《 パロディか?予言か! 面白いだ…

『大語海』つづき(閑人亭日録)

『ビックリハウス版 国語辞典 大語海 DAIGOKAI』PARCO出版1982年4月1日第一刷からちょっと拾う。 隔駅停車 快速。 かぐや姫 家具屋の娘。 才気旱魃 才能が枯渇すること、ヤキがまわったとも言う。 産婦人可 四十男の花嫁募集広告文の一例。 単…

『大語海』(閑人亭日録)

『ビックリハウス版 国語辞典 大語海 DAIGOKAI』PARCO出版1982年4月1日第一刷を久しぶりに開く。357頁だけど、ソフトカバー、藁半紙みたいな安い紙の本なので軽い。これ以上安くできない印象。四十年前の出版だったとは。そんな昔か。インター…

一度だけ出合った漢字(閑人亭日録)

書けないだろうとよく話題にされ、提出される漢字が憂鬱(ゆううつ)。忘れるもんか、と若い頃懸命で覚えた。今は憂愁~有終という漢字に親しい。鬱はウツになる。 鬱以外にも画数が多くて難しい漢字、難読漢字はずいぶんあるけど、画数が少なくて読めない漢…

『本朝三十家名畫集』(閑人亭日録)

村山旬吾 編『本朝三十家名畫集』國華社1906(明治39)年7月25日刊を開く。極精細多色摺木版複製画、住吉慶恩『平治物語繪巻 巻一中三段』を鑑賞。 六波羅行幸の圖だが、右下にぐっすり寝込んでいる武士がいる。 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/1…

『上條陽子とガザの画家たち』(閑人亭日録)

画家の上條陽子さんから展覧会図録『上條陽子とガザの画家たち 希望へ・・・』佐喜眞美術館を恵まれる。二十頁ほどだが、充実した内容。進化する作品。感想を認めて投函。 https://sakima.jp/ 朝五時、ふと目が覚めてカーテンの隙間から赤い日差し。カーテン…