2023-01-01から1年間の記事一覧

美術作品、その後(閑人亭日録)

K美術館を開いた理由はまず、味戸ケイコさんと北一明を顕彰し、広く知らしめること。そして後世へ伝える(遺す)べきと私が勝手に判断した美術品を展示することだった。 その目論見は、味戸ケイコさんは、椹木野衣 責任編集『日本美術全集 第19巻 拡張する…

『ミニ詩集 愛の絵本』(閑人亭日録)

やなせ・たかし『ミニ詩集 愛の絵本』山梨シルクセンター昭和四十三年三月一日発行を読んだ。26頁「悲しみは古い仲間」。《 ひとりぼっちのかなしみよ つらい心でうなだれてるね なかよくしょうかなしみよ ぼくとおまえは古い仲間 どこへいくのかかなしみは …

『アホラ詩集』(閑人亭日録)

やなせ たかし『アホラ詩集』かまくら春秋社 平成二五年三月一〇日 発行を読んだ。大きい活字でじつに読みやすい。読みやすい詩。「数詩」全篇。《 一宿一飯 一期一会 二度あることは 三度ある 佛の顔も三度まで すべってころんで 四苦八苦 七転八倒 九死に…

作品との距離(閑人亭日録)

北一明の茶碗や盃を鑑賞するとき、卓上に置き、手の届くほどの距離で眺め、それから手にとり、掌上で回して鑑賞。見込み(内側)を鑑賞。ひっくり返して高台を鑑賞。まあ、あちこちから眺めて愉しむ。北一明は午前十時の光が鑑賞に向いていると言っていた。…

「三島生まれのもの書き」(閑人亭日録)

昼前、三階の窓拭きをする。ふう~。この前は二階の窓拭きを友だちとした。勢いでやらないとできない作業。勢いで一人でやったけど、やっぱり疲れた。当たり前か。 三嶋大社宝物館ギャラリーの展覧会「三島ゆかりの作家展」(11月29日~12月3日)では本も展…

上條陽子さんとパレスチナ(閑人亭日録)

美術家大坪美穂さんから「相模原在住の2人が神奈川文化賞に/上條陽子氏と松井利夫氏」の知らせを聞く。相模経済新聞より。 http://www.sokeinp.com/?p=18337《 県は10日、神奈川の文化の向上発展に尽力し、その功績顕著な個人や団体を表彰する2023年度…

『「戦争と日本」 ─壮絶!特攻篇─』二(閑人亭日録)

水木しげる『漫画で知る「戦争と日本」 ─壮絶!特攻篇─』 マガジンハウス 二〇二二年七月二八日 第一刷発行、後半「貸本戦記漫画作品 壮絶!特攻」を読んだ。《 「……ここに海上特攻隊を編成し 壮烈無比の突入作戦を命じたるは 帝国海軍水上部隊の伝統を発揚…

『あんぱん』(閑人亭日録)

《 再来年春の朝ドラ「あんぱん」 漫画家やなせたかしさんモデル 》 NHK NEWS https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231020/k10014231541000.html《 NHK 25年春の朝ドラは「あんぱん」!アンパンマン生んだやなせたかし夫妻がモデル 中園ミホ氏脚本 》 ス…

ハロウィン 歩行者天国 三島(閑人亭日録)

朝、源兵衛川中流、下源兵衛橋下流の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。大きいモノが多く、早く重くなる。グラウンドワーク三島の会長、三島ゆうすい会会長の夫、見知らぬ方からお声がけ。きょうは何だろう。自転車の荷台に載せて帰宅。一汗。 午前十一時から午…

北一明・個展の案内状(閑人亭日録)

北一明・個展の案内状を整理する。手持ちのもので最も古いものは、1982年7月31日(土)~8月7日(土)東京・銀座アート ホールのもの。片面はカラー印刷。雑誌編集者・文芸評論家の常住郷太郎氏から送られた案内状。四つ折り五面、片面カラー印刷。次は同じ…

『「戦争と日本」 ─壮絶!特攻篇─』(閑人亭日録)

水木しげる『漫画で知る「戦争と日本」 ─壮絶!特攻篇─』 マガジンハウス 二〇二二年七月二八日 第一刷発行、前半を読んだ。 https://www.mizukipro.com/works/202208155855/ 第一篇「鬼軍曹~それは何(なん)だったのか~」最後のコマのふきだし。《 なん…

『縄文の断片から見えてくる』四(閑人亭日録)

古谷 嘉章、石原 道知、堀江 武史『縄文の断片(かけら)から見えてくる : 修復家と人類学者が探る修復の迷宮』古小烏舎(ふるこがらすしゃ)2023年8月30日 第一刷発行、古谷嘉章「第三章 遺物の修復について人類学者が考える──断片・経年変化・複製・展示」…

『縄文の断片から見えてくる』三(閑人亭日録)

古谷 嘉章、石原 道知、堀江 武史『縄文の断片(かけら)から見えてくる : 修復家と人類学者が探る修復の迷宮』古小烏舎(ふるこがらすしゃ)2023年8月30日 第一刷発行、堀江武史「第二章 修復からみた縄文土器の「わからなさ」」を読んだ。じつに刺激的で興…

『縄文の断片から見えてくる』二(閑人亭日録)

古谷 嘉章、石原 道知、堀江 武史『縄文の断片(かけら)から見えてくる : 修復家と人類学者が探る修復の迷宮』古小烏舎(ふるこがらすしゃ)2023年8月30日 第一刷発行、石原道知「第一章 考古遺物の修復の現場から」を読んだ。《 縄文文化を理解する為には…

『縄文の断片から見えてくる』(閑人亭日録)

古谷 嘉章、石原 道知、堀江 武史『縄文の断片(かけら)から見えてくる : 修復家と人類学者が探る修復の迷宮』古小烏舎(ふるこがらすしゃ)2023年8月30日 第一刷発行、古谷嘉章「序章 修復の世界への招待」を読んだ。 https://furukogarasusha.com/book/88…

北一明記念館開設(閑人亭日録)

北一明記念館が24日に開設されるという。 https://www.kitakazuaki-kinenkan.jp/ 四十年余り前、北一明の本を私に紹介した年上の女性(北一明の本の編集などを手掛けた)の誕生日のきょう、女史に電話。ご存じない。数年前、彼女は北一明の生まれた飯田市へ…

『戦争と日本』二(閑人亭日録)

水木しげる『漫画で知る「戦争と日本」 ─敗走記篇─』マガジンハウス 二〇二二年七月二八日 第一刷発行、後半を読んだ。ふきだしから。《 昔の軍隊では なぜなぐられるのか ということを 考える必要はない タタミと 兵隊は なぐれば なぐるほど よくなるとい…

『戦争と日本』(閑人亭日録)

水木しげる『漫画で知る「戦争と日本」 ─敗走記篇─』マガジンハウス 二〇二二年七月二八日 第一刷発行、前半を読んだ。最初の一篇「敗走記」結びの言葉。《 ぼくは、雨が降るたびに いまわしいこの南方戦線の ことを思い出す。 「戦争は、人間を悪魔にす る…

小原古邨(閑人亭日録)

小原古邨(おはら・こそん)の木版画に出合ったのは、1998年、三島の茜画廊でのことだった。画廊主も名前の読み方を知らない。しかし、「烏は嫌いだが、この烏の木版画はいい」と購入。それが「柿に烏」。 http://web.thn.jp/kbi/koson.htm まだインターネッ…

何が可能か(閑人亭日録)

大江健三郎だと記憶するが、「文学とは何かを追及するよりも、文学に何が可能か、を追及すべきだ」という趣旨の発言があった。この主張、ときおり頭に浮かぶ。私なりに場面を考えると、煮物を煮詰めるよりも吹きこぼすほうを選べ、ということになる。伝統の…

出物がない!(閑人亭日録)

午後、源兵衛川中流、水の苑緑地・かわせみ橋上流の土手の雑木を、一昨日に次いで根元から伐採。土のう袋に詰め込んで自転車に載せ、帰宅。汗。ふう。コーヒーが旨い。 北一明の茶碗を卓上に置く。陶芸教室で某陶芸家は、彼の茶碗を一目見て「素人の作品です…

きょうも秋霖(閑人亭日録)

小雨が降ったりやんだり。きょうも秋霖。昼前、写真の岡部稔展会場へ友だちと歩いて行く。写真の他、イラスト、ワイアー・アートも展示。 https://smallartshop.jp/?mode=grp&gid=2140011&sort=p 日本画の大場茂之さんからお声がけ。久闊を叙す。 https://ww…

秋霖(閑人亭日録)

午前、源兵衛川の月例清掃へ。久しぶりに参加された方と作業後、四方山話。 午後、小雨。秋霖か。この秋初めてミルクティーを飲む。旨い。長袖の秋。 銅版画家深沢幸雄氏から恵まれた二客の盃を卓上に置く。緩やかにして端正な造形に厚い釉薬(うわぐすり)…

1969年のアジビラ(閑人亭日録)

ネット遊覧で出合った一節。《 だが考えてみれば、近年は脇道や寄り道もそうだが、道草を食うという言葉も聞かなくなっている。しかしそれは読書にまつわる必然的な行為であり、出来事のように思えるし、これからもそうした試みを続けていきたい。 》 「古本…

クレソン つづき(閑人亭日録)

午前、昨日源兵衛川中流で見つけたクレソンを収穫に行く。三島梅花藻の中に数株が割り込んでいる。軽く抜ける。クレソンは繁殖力が強くて小さいうちに抜かないと川面がびっしり覆われてしまう。開店前のレスカリエ・ド・三島へ。「よかったら使ってください…

クレソン(閑人亭日録)

昨日、友だちとお散歩。源兵衛川上流部で若葉のクレソンを見つける。レスカリエ・ド・三島でコーヒーを飲んでオーナー・シェフにクレソンの話をすると、ぐっと興味を示したので、夕食に行く前に数株のクレソンを抜いて水洗いし、手土産に持って行った。喜ば…

アバンギャルディAvant-gardey(閑人亭日録)

しばらく前からアバンギャルディAvant-gardeyの舞踊(ダンス・パフォーマンス)に注目している。 https://akanekikaku.com/avantgardey/ https://www.youtube.com/watch?v=09pXOmUpO10 https://www.youtube.com/watch?v=0K4j3HBuenY https://www.youtube.com…

『氷島』二(閑人亭日録)

萩原朔太郎第六詩集「氷島(表頭)」昭和九年(1934年)六月刊行で、記憶に深く刻み込まれている詩は、昨日の「漂泊者の歌」と「帰郷」の二篇。冒頭の二行、「わが故郷に帰れる日/汽車は烈風の中を突き行けり。」が、東京から三島へ東海道線の各駅停車で帰…

『氷島』(閑人亭日録)

萩原朔太郎第六詩集『氷島(ひょうとう)』昭和九年(1934年)六月刊行を『日本の詩歌 14 萩原朔太郎』中央公論社昭和43年1月13日初版発行で久しぶりに読んだ。今世紀初の再読だろう。「自序」が読ませる。冒頭を引用。《 近代の抒情詩、概(おほむ)ね皆感…

『青猫』二(閑人亭日録)

萩原朔太郎第二詩集『青猫』大正十二年一月刊を『日本の詩歌 14 萩原朔太郎』中央公論社昭和43年1月13日初版発行で久しぶりに読んだ。今世紀初の再読だろう。いろいろな発見、気づきがあった。まずは「憂鬱」という言葉が頻出。《 あまりに恐ろしく憂鬱なる …