2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

百冊の本、読んだ?

昨日引用した丸谷才一の発言の「近代日本の百冊の本」は、月刊現代1991年1月号2月号に載った「近代日本の100冊を選ぶ」という企画のこと。伊東光晴、大岡信、丸谷才一、森毅、山崎正和の五氏が「のべ40時間の徹底討議」で「この百二十年間のあらゆるジャン…

百一冊目の本

NHK静岡ローカルの朝のニュースで二度、昨日の取材が放送された。ヨカッタネ、と知人から電話。 美術館へ来る前に三嶋大社へ桜見物に行く。午前九時、神前結婚の新郎新婦が鳥居にいる。晴天のもと、桜は八分咲き。よき日だ。十時に開館。さっそく年配の来…

桜だ〜

今年は桜の開花が早い。満開になるのも早いようだ。昨夜、三島大社の夜桜を観に行く。照明を受けて漆黒の夜空に浮かぶ七分咲きの壮麗さ。満開になるとこれに愴絶な趣が加って息を呑む凄艶な美しさに。昼間は艶麗、夜は凄艶。 さくらよりさくらにわたす一年の…

とてつもなくHAPPY

昨夕、帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。丸谷才一「挨拶はたいへんだ」朝日文庫2004年初版、西井一夫・文/平嶋彰彦・写真「新編『昭和二十年』東京地図」ちくま文庫1998年5刷、計210円。 後者を見読。息詰まる文章ならぬ息の詰まる文章だ。写真も固いが文…

それぞれの岐路

知り合いの奥さんが親の介護のため一家で東京へ引っ越した。三島市から通って面倒を看るのはもう無理のよう。ご近所で一人暮らしのおばあさんを、東京に住む息子が週末ごとに来ては布団干しなどの面倒を看ている。定年になったら帰ってくると言うが、まだ先…

3月24日(月) 休館日

雨なのでお蒲団でぐずぐず。午後には晴れてくる。暖かいせいで三嶋大社の桜は三分咲きくらいに。今年は早! 福永武彦「ゴッホとゴーギャン、内面への道」の続き。「現実を作者の主観によって変貌させる傾向」は、 「絵画そのものの中で、純粋に、現実を変貌…

超絶の一枚

毎日新聞昨夕刊にカチャーオことイスラエル・ロペスの死亡記事。享年89歳。「マンボ」を生んだ一人。彼のCDアルバム「 CACHAO MASTER SESSIONS VOLUME 1 」1994年76分を聴きとおす。じつにいい響き。帯の惹句は「リズムが止まらない…。」「超絶の一枚。」…

飛ぶ男

最近飛ぶ夢を見ない。すっ飛んでいる男と世間からは見られているようだけど。福永武彦「飛ぶ男」を再読。永く入院している男の夢は鳥のように飛ぶこと。福永の闘病生活から生まれた、一九五九年四十一歳の短篇。「ちくま日本文学全集 福永武彦」筑摩書房1991…

古邨、ソンソン

高城高「墓標なき墓場」創元推理文庫を読んだ。昭和33年の晩夏、北海道の釧路から根室を舞台にした事件。 「江上は耳を澄ました。霧のなかから臨港鉄道の気動車が通る音が聞えた。ボートのエンジンの音は聞えない。あたりにはもう黄昏らしい暗さが迫ってい…

覚書調印

午前九時、三島市東本町の三島測候所跡地でマンション建設問題に関する覚書の調印式の準備をする。午前十一時前、(株)マリモと三島測候所を保存する会と三島市東本町二丁目自治会の三者で覚書に調印した。マスコミ各社が取材に来た。そりゃ、そうだ。マン…

元祖ワーキングプア

落ち込んでいるときには元祖ワーキングプア石川啄木を読みたくなる。 夢さめてふつと悲しむ わが眠り 昔のごとく安からぬかな 身にしみる。夢見が悪い。 やはらかに柳あをめる 北上の岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに 昨日の源兵衛川の調査で、雨にけぶる岸辺の…

希望、きぼう

毎日新聞昨夕刊コラム「近時片々」。 「政治の停滞が日本中を八方ふさがりの気分にさせていないか。もはや地上に『きぼう』はない、などと軽口をたたいている場合ではない。」 「きぼう」ねえ。あれはもう時代遅れという話も聞こえるけど。静岡県人は中庸・…

空へ向く花びら

白木蓮の花はすべて空へ向いている。それ祈りと見るかあこがれと見るか。私情はいくらでも託せる。 建築家隈研吾が興味深い都市論 を展開している。わが街三島と較べながら読むとじつに面白い。ここでは触れられていないが、町田駅、相模大野駅、藤沢駅、仙…

休館日

こまごました用事を美術館で片付ける。ついでにブックオフ長泉店に寄る。横山秀夫「第三の時効』集英社 2003年初版帯付、浅見雅男「華族たちの近代」中公文庫2007年初版、計210円。前者は贈呈用。 昨日配信された「『書評』のメルマガ」vol.353で扉野良人が…

マンション撤退!

春が来た。樹木の花がいっせいに開花。紋白蝶が飛んでいる。春だ。 静岡新聞朝刊を開いて仰天。 「三島市測候所跡地 マンション計画白紙に」 「高まる反対運動 業者、撤退の意向」 「市民運動が急転促す」 ことの発端はグラウンドワーク三島の事務局長のサイ…

Spring has come〜お散歩日和

昨夜の雨が冬の名残を洗い流したようだ。風も陽射しも春〜。やっと春が来た。ぶらぶらととお散歩したくなる。山里もいいが街裏歩きが楽しい。 毎日新聞昨夕刊、「特集ワイド」は建築家槙文彦。1969年から1998年まで、東京代官山のヒルサイドテラスの設計を手…

泣けば勝ち

国会は「D・N・A」でタイヘンという。D=道路特定財源、N=年金(そして日銀総裁)、A=イージス艦あたご。地獄の釜の蓋があいたような情けない国会だ。地獄といえばイギリスのジョーク。 「大丈夫、地獄は君が行くまで満員にならない。」 毎日新聞朝…

泣けば勝ち

国会は「D・N・A」でタイヘンという。D=道路特定財源、N=年金(そして日銀総裁)、A=イージス艦あたご。地獄の釜の蓋があいたような情けない国会だ。地獄といえばイギリスのジョーク。 「大丈夫、地獄は君が行くまで満員にならない。」 毎日新聞朝…

泣けば勝ち

国会は「D・N・A」でタイヘンという。D=道路特定財源、N=年金(そして日銀総裁)、A=イージス艦あたご。地獄の釜の蓋があいたような情けない国会だ。地獄といえばイギリスのジョーク。 「大丈夫、地獄は君が行くまで満員にならない。」 毎日新聞朝…

人名・人命

再読しているホメーロス「オデュッセイア」の第八巻にはこんな人名。 「アクロネオースにオーキュアロスにエラトレウス、ナウテウスにプリュムネウスにアンキアロスにエレトメウス、ポンテウスにプローレウス、トオーンにアナベーシネオースに、テクトーンの…

難民、小出版社

昨日の上條陽子さんの個展「難民」では、彼女がレバノンのパレスチナ難民キャンプで絵を教えた300人あまりの生徒の顔写真が彼女の手によって転写された版画になって、ガラス窓に貼られて展示されている。そのかすれた転写に浮かぶひとりひとりの表情がとても…

川崎まで

上條陽子さんの個展 初日。川崎まで。上條さんや知人に再会。ついでにブックオフの鶴見、川崎、藤沢店を廻るけれど、殆ど収穫なし。ひでえや。買ったのはやっと二冊。澁澤龍彦「唐草物語」河出文庫1996年初版、トルーマン・カポーティ「夜の樹」新潮文庫、計…

休館日

雨のち曇り。春めいた湿めり気。動きたくない気分。本棚を見ては思う、こんな俳句を。 ちりぢりや蔵書・椋鳥・かの吸殻 堀井春一郎 画集を観ては思う、こんな俳句を。 美術巡礼銀河のみちは不案内 平畑静塔 加藤郁乎(いくや)の俳句に齋藤慎爾の俳句をあわ…

俳句・西洋の美術家たち

なんか日差しが明るい。西洋美術家たちをあつかった俳句を少し。 虹りゆく朝半宵丁にセザンヌるかな 加藤郁乎 燗熱しゴツホ展よりゴツホを連れ 平畑静塔 ゴオホの線蜜柑の皮の感触あり 渡辺白泉 ゴッホの糸杉 東風に逆立つ我が蓬髪 高柳重信 黒き蝶ゴッホの…

俳句・しんしんと人名

三月というのに未だに朝はしんしんと冷える。俳句のしんしん表現を少し。 しんしんと重さがたのし歩みゆく 星野立子 沖しんしん潮音空に凍み響き 高屋窓秋 しんしんと肺碧きまで海のたび 篠原鳳作 しんしんと桜が湧きぬ墓の闇 鷲谷七菜子 相倚るやしんしんと…

俳句のオノマトペ・続き

俳句のオノマトペはうんざりするほどある。で、少し。 年の瀬の灯ぺちゃくちゃの六区かな 阿波野青畝 がんがんと鉄筋のびる師走かな 高柳重信 へろへろとワンタンすするクリスマス 秋元不死男 石の家にぼろんとごつんと冬がきて 高屋窓秋 水枕ガバリと寒い海…

俳句のオノマトペ

俳句にはオノマトペがたくさん使われている。 土筆物言はずすんすんとのびたり 夏目漱石 樽柿をへろへろ喰ひぬ矢継早 松根東洋城 木がらしに恋の黒猫眼ぎらぎら 松瀬青々 ひゆつひゆつとひゆつひゆつと夜の空を鴨 高野素十 さくさくと雹をすくうて笑ひけり …

声に出せない日本語

啓蟄というにはちと寒い。昨晩の雨は周囲では雪。富士山箱根愛鷹山雪景色。ああ今冬は雪に触れずに終わるのか。つまらんなあ。 つまらんなあと言われれば万事休す、が官能小説だ。永田守弘編「官能小説用語表現辞典」ちくま文庫 2006年にはオノマトペも収録…

3月 3日(月) 休館日

春眠暁を覚えずというけれど、目が覚めれば午前十一時を廻っている。あれあれ。 午後、源兵衛川最上流部のいずみ橋からパンをちぎって川へ落とす。好き勝手に泳いでいるハヤが一斉にわらわらと寄ってくる。パンの争奪戦。パン片はあっちこっちへ動き回る。隣…

オノマトピア

櫻井順「オノマトピア 擬音語大国にっぽん考」電通1986年を読む。 「日本人の共通感覚が織り出した独特の世界」 という独自の視点からオノマトペが論述されているこの本は、博覧強記の笑える例証がじつに興味深くて愉快。 「当時の江戸っ子としてみれば、経…