2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『氾人』

安井浩司句集『氾人(はんじん)』冥草舎1984年を読んだ。昨日の『乾坤』より五感と想像力を広げている。 静態的な『乾坤』に対し、『氾人』は動態的といえようか。気になった句をいくつか。 《 春を逝くわれら塵の翼にて 鶏頭に鶏は激しく触れている 茸ども…

『乾坤』

雨のち曇り。一日違いでよかった。 安井浩司句集『乾坤(けんこん)』冥草舎1983年を読んだ。気になった句をいくつか。 《 月光や沖では漁師濡れおらん 雨の道蓑より覗く神が居る 牛の眼の赤し赤しと往きにけり 遊女と見あぐ骰子が夏の空中に 歌人(うたびと…

「ディズニー・シー パレード」

朝六時前、やたら賑やかな話し声。酔っぱらいにしてはまとも。窓を開ければ歩道に若い人たちが座っている。 十時に始まるパレードをもう待っている。賑やかで寝ちゃいられないわ。六時半、記録写真を撮る。こんな早起き 今世紀初めて。すごい晴天。 午前八時…

『江戸川乱歩 掌編傑作選』

『豆乱歩 江戸川乱歩 掌編傑作選』十三舎2016年、箱入り五冊セット1500円が届く。愉しい。 http://www.juzasha.com/?pid=101724540 午後から夜までグラウンドワーク三島の理事会、総会、講演会そして交流会に参加。NHK、民放の三島、 源兵衛川の取材〜放…

「ヒロシマ オバマ」

ネット予想では雲は朝から何もないのにザアザア雨。洗濯物を取り込む。モニター画面だけではいかんな。 空を直視せよ。それにしても気まぐれな天気だ。 午後、オバマ大統領の広島訪問と所感を視聴。そして被爆者との対話。歴史的瞬間だ。 山崎正和『社交する…

『夢十夜』

降雨予想、昼まで20%なのに朝から小雨。ここだけ小さな雨雲。自転車で外出の予定が狂う。雨が止んだので 午後、ブックオフ長泉店へ自転車で行く。山崎正和『社交する人間』中央公論新社2003年2刷帯付、デイヴィッド・ アーモンド『ヘヴンアイズ』河出書房…

『骨董屋からくさ主人』

昨日午後、ブックオフの帰りに知人が参加しているグループ展を見、北斎道子展最終日の会場へ。完売。人気あるわ。 http://hokusaimichiko.web.fc2.com/ 昨晩、友だちの知人家族を引き連れて源兵衛川中流部、水の苑緑地でホタルの観賞。かわせみ橋から見るホ…

「意志と覚悟」

絵を描くのは命がけ。それを評するのも命がけ。 絵を描く時、描きたいこと、ものを満腹の食事のように全部描いて満足した絵に、鑑賞者は息が詰まる。絵の描写も腹八分、 といったことを昨日の北斎道子展へいらした初見の絵描きに述べたが、本当は違う。描い…

「まあさ、すず」

昨日の「三島・緑と水の杜・三島梅花藻の里」竣工式の記事。 http://www.gwmishima.jp/modules/information/index.php?lid=615 朝、テレビで見かける高橋 真麻は、たかはし まあさ と読むことを知った。そのまんまの読みとは。若い(かな?) 女性は誰が誰だ…

『偶然性と運命』つづき

昨日引用した〈様相〉の概念に、北一明の茶碗を連想。 《 一碗を通じて人類の歴史を透視する。 》 鶴見和子 上記評言がずっと心に残っている。 《 こうした視点から書かれた『悲劇の誕生』は、当時の古典文献学の論文の形式を大きく逸脱していたことと、 さ…

『偶然性と運命』

木田元『偶然性と運命』岩波新書2001年初版を再読。こんなに読み応えがあった(難解)とは。以前なにを読んだのか。 メモ。 《 (ニ) ハイデガーの時間論のもう一つの特質は、彼が〈現在〉〈未来〉〈過去〉をそれぞれ自立した単位と見た上で、 それらが集ま…

「弱い表現の強い表現力」

昼前、昨日訪問した北斎道子さんの個展へ足を運ぶ。徒歩三分。ピカイチの一点は知人の画家に売約済。その絵について北斎さんから 問われたので簡単に感想を述べる。「弱い表現の強い表現力」「女性性の絵画」。会話の中から浮かんだ言葉を追加。 「成熟した…

『人類知抄 百家言』

一昨日、木田元・編『一日一文』岩波書店を採り上げたが、詩歌、箴言のアンソロジーにひかれる。『一日一文』 の先行に中村雄二郎・編『人類知抄 百家言』朝日新聞社1996年初版がある。366と100の違いはあるが、同じ 人の違う文を選んでいるところが編…

『松谷警部と目黒の雨』

平石貴樹『松谷警部と目黒の雨』創元推理文庫2013年初版を読んだ。久しぶりの平石貴樹。 《 「おれたちがぶち当たったのは、ただの殺人事件じゃない、五年前に二人、一年前に一人を殺し、こないだ 小西のぞみも殺した、とんでもない連続殺人事件ってことなん…

『一日一文』

10日にブックオフ三島徳倉店へ寄った時、見送ったが気になって翌日購入した木田元・編『一日一文』岩波書店 2004年2刷函帯付180円は、この一週間手の届くところ(床)に置いてある。装丁造本内容が私好み。15日の「一文」。 《 薔薇はなぜという理由なしに咲…

「器のかたちをしたオブジェ」

《 つまるところ、人間の道具立てに二種類はないのである。道具立ては一式しかなく、同じ道具が、 ある時は生命の保持に用いられ、ある時は我々の大いなる冒険[六字傍点]のための幻想や仕事に 用いられるのである。 》 ポール・ヴァレリー「精神の自由」(…

『絵をみるヒント』つづき

窪島誠一郎『絵をみるヒント』白水社2006年初版、後半は絵の見方から進んで、「絵の値段について」「『蒐集家』 というふしぎな人々」「『コレクター美術館』の魅力」と、業界がらみのなかなか興味深い展開。 《 だいたい、コレクターといわれる人々を大別す…

『絵をみるヒント』

窪島誠一郎『絵をみるヒント』白水社2006年初版、前半を読んだ。より深く絵を楽しむヒント集といった印象。 肩肘張らない平明な文章で絵画鑑賞の素直な楽しみ方を語っている。いい本だ。 《 「絵」だって同じで、ある時代には巨匠ともてはやされ、大家と尊敬…

『日本の風俗嬢』

中村淳彦『日本の風俗嬢』新潮新書2014年9刷を読んだ。いやあビックリ。昨日のストリップ劇場同様、性風俗の えらい変わりようにオレの常識は前世紀あるいは昭和の遺物、と実感。 《 どこにでもいる一般女性がポジティブに働いている。高学歴の者もいれば、…

『はだか』

昨日の城昌幸『ハダカ島探険』、題名だけでは女護が島なんかを連想させるが、小島の半分が地すべりした無人島。 ハダカ連想で、谷川俊太郎詩集『はだか』筑摩書房1988年初版を再読。表題作「はだか」にぐっと惹かれた。十八行の詩の 最後の三行。 《 じぶん…

『ハダカ島探険』

昨日のニトリでポイントカードは?と訊かれた。当然持ってない、持つ気もない。スーパー食品売り場のオバサンの ガバッと開いたがま口(財布とは到底思えない)に見えるカードの列! オドロクねえ。ブックオフでもカードを訊かれる。 私、カードはテレカだけ…

『徳川家康』

昼前、ニトリ清水町店へ自転車で行く。絵葉書大の絵に丁度良い白い枠の額を九個購入。先だって一個買って、 計十個。友だちのミニアチュールのような植物画十枚を収める。うん、合うわ。 午後、裾野市水窪のカフェ草の実へ自転車をせっせと漕いで行く。ずっ…

「若冲 暁斎 古邨 一村 一明」

昨日の毎日新聞「今週の本棚」、西上心太・選「夏樹静子 この3冊」で『天使が消えてゆく』が、 河合正朝「昨日読んだ文庫」で西村亨『王朝人の四季』が採り上げられていた。前者は講談社文庫で、 後者は講談社学術文庫でもっているのを確認。そのついでに夏…

「マンチカン」

マンチカンて言葉、初めて耳にした。先だって子猫を欲しい人と子猫を譲りたい人の間をとりもったのだけど、 猫の種がマンチカンだと言う。男の痴漢? そんな猫いるんかい、と「マンチカン 子猫」で検索。ま、カワイイ。 貰い手の希望がばっちりマンチカン。…

『精神の危機』

ポール・ヴァレリー『精神の危機』岩波文庫2010年初版、前半の表題作以下をゆっくり日をかけて読んだ。 八篇どれもじつに深い省察=危機感に襟を正す気持ちになる。精神の危機、その渦中に私もいるのに気づかぬ、 と思う私がいる。気づいてはいるが、その危…

「閑中忙」

K美術館の時のように、毎日行う仕事は無いけれど、用事=仕事は向こうからやってくる。忙中閑有りから 閑中忙有り。なんだかなあ。頼まれるうちが花だよ、と仕事を減らしたい友だちに言っていたけど、今じゃ オレのことか。金にもならないことを、と人様か…

『詩とはなにか』

大岡信詩集『詩とはなにか』青土社1985年初版を読んだ。三部構成。第二部は万葉集の試訳集などからななり、 今の私には面白くなかった。第一部は「詩とはなにか」という題の連作。これまた、ピンと来なかった。 第三部の戯れ歌のような詩に救われた気分。第…

『草府にて』

大岡信詩集『草府にて』思潮社1984年初版を読んだ。「あとがき」から。 《 私は自分の詩が「箴言」と「うた」という二つの大きな詩のテーマによっていやおうなしにしぼりあげられて いるのを感じる。 》 そのような印象を受けた。最初の詩「詩の原理」、冒頭…

「セザンヌ、能産的自然」

先月三十日に引用した大岡信の「巻の九 われらの時代の風景画・論」の一部を再掲。1986年の作か。 《 拗ね者のセザンヌには 宮廷のおかかへ絵師の安楽な暮らしはなかつた。 だが彼には エクスの東に青い裸身を横たへる サント・ヴィクトワールの山塊を 彼自…

『水府 みえないまち』つづき

大岡信『水府 みえないまち』には「豆州三島」「螢火府(ケイガフ)」「裾野禽獣」「サキの沼津」と地元を 詠んだ詩が続くページがある。「螢火府」は子どものころの三島がテーマ。 《 昼間なら 四(よん)本の川が野の中央を蛇行してゐた。 》 西から蓮沼川…