2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

9月29日(月) 休館日

929とは苦肉の策? どこかの国会。 雨なので近所の古本屋で物色。松崎明・谷恭介「国鉄動力車」三一新書1972年2刷150円(表紙絵が中村宏)、色川武大「百」新潮文庫1990年初版帯付120円、中井英夫「銃器店へ」角川文庫1975年初版50円、ジェームズ・サーバ…

撤収・収納

朝、味戸ケイコさんの今回の展示を手伝ってくださったデザイナー内野まゆみさんが来館。撤収を手伝ってくれる。二人でやると早い早い。お昼にはほぼ終了。ありがたい。ガランとした室内。今度は湯浅猛氏がどんな展示を見せるか。それまでしばし休憩。 某テレ…

9月27日(土) 茨城県つくば美術館

「気になる展覧会」にあげた「安藤信哉・小堀進・永瀬義郎の世界」展をつくば市まで行って観てくる。 三島駅(東海道線)〜東京駅(山手線)〜秋葉原駅(つくばエキスプレス)〜つくば駅まで行程四時間、午前十一時つくば美術館に到着。安藤信哉作品は二十一…

昨日は帰りの電車乗り換えのついでに丸善に寄ったのだけれど、文庫本だけでも欲しい本があまりに眼についてクラクラ。値段を見てクラクラ。ボーッとして店を出た。大型店は眼の毒。 今朝、芳名録を観て仰天。墨痕鮮やかな文字。 「多摩美大 椹木野衣」 椹木…

Fondamenta degli incurabili

須賀敦子「地図のない道」新潮社1999年を読んだ。著者の遺作。収録された「ザッテレの河岸で」1994年発表にヨシフ・ブロツキーが話題になっている。 「ヨシフ・ブロツキーの作品に《Fondamenta degli incurabili》というタイトルの小さなエッセイ集がある。…

ヴェネツィア反転

1940年ロシア生まれの亡命詩人で、1987年にノーベル文学賞を受賞したヨシフ・ブロツキーが1989年に書き上げた「 Watermark 」(水位標、紙の透かし模様)は、1992年に出版され、「ヴェネツィア・水の迷宮の夢」という邦題で集英社から1996年1月22日に翻訳出…

水の迷宮の夢

気になる105円本は買っておけ、でいつだっか買っておいたヨシフ・ブロツキー「ヴェネツィア・水の迷宮の夢」集英社1996年5刷を、ヴェネツィアつながりで読んだ。おお、レニエに言及している。「ある友達が、フランスの作家アンリ・ド・レニエの中編小説を三…

9月22日(月) 休館日 「北欧のヴェネツィア」

毎日新聞朝刊、「人」は「『地球は冷える』と主張する地質学者」丸山茂徳(しげのり)。 「太陽活動はすでに弱くなっている。『これからは寒冷化に向かいます。私が正しいかどうかは、5年後に決着がつくでしょう』」 彼の考えを私は支持したい。温暖化キャ…

迷路の水の都

アンリ・ド・レニエ「水都幻談」平凡社の表紙にも引用されている「幻覚」からの詩句。「げにこは妖しくも不思議なる地にあらずや。その名を聞くだに逸楽と憂愁の想ひ胸に湧く。試みに言ひ給へ、《ヴェネチア》と。」 昨夜、そんな詩句を口ずさんでいて、俄か…

ヴェネツィア

ゲオルク・ジンメル「ジンメル・コレクション」ちくま学芸文庫1999年収録「ヴェネツィア」1907年は、「人々が昔から感じ続けてきたヴェネツィアの『夢のような』性格」に深い洞察を入れた優れたエッセイで、思わず惹き込まれ、訪れたこともないヴェニス=ヴ…

台風抜ける

台風13号は夜中に抜ける。雨台風だったので拍子抜け。抜けるような青空。山の畑の栗は落ちなかったかな。 一少女膝に抱きてみえゐるは栗谷・栗丘・栗の月光 葛原妙子 ああ、夏が逝く……。 夏過ぎて小さき音を立てにける少女すなわち変身せり 葛原妙子 一少…

アンソロジーは愉しい

昨日買った山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー」角川文庫、「 Intro. ──我がアンソロジスト事始」の冒頭。 「ミステリを本格的に読み始めた中学生の頃の私の楽しみの一つに、《マイ・アンソロジー》の作成というものがあった。」 二十代の頃、小説詩歌等…

ネット配信は音楽の背進?

日付がきょうになった深夜、NHKテレビ「東京カワイイTV 」を視聴。ゴスロリ特集。想定の範囲内の番組だった。渋谷のマリアの心臓がちょっと紹介されていた。最近行ってないなあ。それにしても、嶽本野ばらが無視されているのが納得いかん。NHKの事情…

死ぬまでお買い物

エレイン・ヴィエッツ「死ぬまでお買物」創元推理文庫じゃあないけど、人間元気で生きてりゃ死ぬまでお買い物ブックオフから手ぶらで出て隣のスーパーで無塩バターから敷布団カバー、排水洗浄剤やトイレ洗浄剤まで購入。生活感丸出しだ。200グラムの無塩バタ…

9月15日(月) 休館日

昼食前にブックオフ三島徳倉店へ自転車で行く。途中の公孫樹並木には銀杏が鈴なり。来月は大変なことになりそうだな。木陰の土手には彼岸花のすっと伸びた茎に蕾。群生しているから、咲くとすごいことになるな。ブックオフでは一冊。三浦しをん「むかしのは…

時代の地殻変動勃発年

一週遅れの話題になるけど。歴史の常識がいつしか変っているのに驚いた。7日(日)の毎日新聞書評で、井上章一「日本に古代はあったか」角川選書が、藤森照信に取り上げられていた。 「歴史の解釈が歴史観によって変ることはもちろん知っていた。でも、古代…

モップの天使・精・魔女

近藤史恵「天使はモップを持って」実業之日本社があまりに心に効いたので、続編の「モップの精は深夜に現れる」2005年、「モップの魔女は呪文を知ってる」2007年を読んでしまう。この三冊、どれも心に効いた。深刻なことも深刻にせず、ふっと心を軽くする解…

「晩夏」

昨日引用した佐藤亜紀「異邦の鳥」にはここまで書くかあ、と感嘆する箇所がある。「それからの二十年の間に、私が愛したもの、完璧だと思い込んだものの多くが失墜した。今ではクリムトなど大した画家とは思わない。ビアズレーは単なる露悪趣味だ。リヒャル…

『破壊王──パラス・アテネ』

昨日名前のあがった山尾悠子。知る人ぞ知る小説家。三十年前、処女作「夢の棲む街」ハヤカワ文庫 1978年を読んで驚嘆。以後「仮面物語」徳間書店1980年までの数年間は「山尾悠子」症に罹ったような。「仮面物語」の帯で小松左京は書いている。「彼女は、その…

純正典雅な日本語

昨日の話題の続き。メリメ「カルメン」を読んだのは、十二月に企画展をする林由紀子さんが「杉捷夫訳の『カルメン』は訳が古くて読みにくい」ともらしたから。平岡篤頼の新しい翻訳で読んでみたところ、読みやすかった。彼女が話題にしなかったら、いつ読ん…

虫の息・虫の声

昨夕、閉館間際に味戸ケイコさんから電話。一時間あまり話して閉館。午後七時に館を出ると、壮大な虫の声に全身包まれる。今年は蝉の声ばかりで秋虫の声が聞こえないなあと不思議だったけど、なあんだ、帰宅するのが早かったせいだ。疑問解消。この猛暑、私…

9月 8日(月) 休館日・足の指は六本

今朝早く、知人がイギリスへ旅立った。現地で会う人への手土産を三島宿を描いた浮世絵葉書にした彼女に、広重の「東海道五拾三次 三島 朝霧」の後ろの駕篭かきの右足の指は六本だよ、と教える。この事実、意外と知られていないようだ。 源兵衛川上流部の木陰…

北斎・写楽

広重とくれば北斎。瀬木慎一「北斎漫画歳時記」美術公論社1981年、「『北斎漫画』──伝説と現実」結び。 「最後に一言書き添えると、世界で最初に北斎に関する論文を書いたのもアメリカ人で、一八六九年という驚くべき早期に、この国の特異な収集家ジェイムズ…

声に出して読んでみたくなる日本語

「瀧口修造の詩的実験 1927〜1937」思潮社1971年縮刷版を本棚から抜いてぱらぱらと読んだ。昔惹かれた散文詩「絶対への接吻」にやっぱり惹かれた。冒頭を引用。 ぼくの黄金の爪の内部の瀧の飛沫に濡れた客間に襲来する ひとりの純粋直観の女性。 彼女の指の…

声に出して読みたくない日本語

斎藤美奈子「文学的商品学」文春文庫を読んだ。相変わらず愉快だ。題名どおり視点がユニークで、芸が細かい。笑える。 「第6章 いかす! バンド文学」から。 換言すれば、私たちはことばに「意味」を読んでしまうのです。『新宿鮫』や『ゴッド・ブレイス物…

立花隆

斎藤美奈子「読者は踊る」文春文庫の解説で米原万里は書いている。 「ここには見かけの権威やブランドに惑わされずに、書物の内容そのものに立ち向かう評者の謙虚で真摯な姿があります。巷の批評家がたとえ思ってはいても決して酷評しない文壇や論壇の王様た…

ブランド好き

ときどき源兵衛川をブランド化するのが目的と話しているけど、源兵衛川は環境省選定「平成の名水百選」に選出され、初期の目的は達成された。これからどうやって維持しさらに豊かな生態系をどうやって実現していくか、という課題が待ち構えている。そんなこ…

他界へ

まだまだ真夏日が続く。濃い影を長く引く晩夏光のもと、群生する向日葵の垂直に長く伸びた茎に載る大きな花は、すべてが黒く変色し、うなだれている。「水を〜」と渇望している焼死者のようであり、無明の他界へ墜落する漆黒の破れ目のようでもある異様な光…

9月 1日(月) 休館日

きょうは朝から真夏の陽気。ゆっくり寝てもいられない。 ブックオフ長泉店で二冊。朝日新聞社編「二十世紀の千人6 メディア社会の旗手たち」朝日新聞社1995 年初版帯付、斎藤美奈子「文学的商品学」文春文庫2008年初版、計210円。前者は、芸術・メディアの…

他界しろ

「高城高全集3 暗い海 暗い霧」創元推理文庫2008年初版帯付945円購入。うー、新刊は高い。解説で権田萬治が短篇「アイ・スクリーム」の掛詞について書いている。 「お菓子の Ice cream と I scream(何かを求めて金切り声をあげる) 」 「たかいしろ」と打…