2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「神に許しを」

朝九時、携帯電話がブルブルと震えて鳴った。ブルブル初体験。地震緊急警報の お知らせ(訓練)。へえ〜。 陳舜臣『幻の百花双瞳』徳間文庫1987年初版を取り出し、「神に許しを」を読んだ。 《 私は変った人間になって人びとの注目を浴びたかったのです。子…

「戦前『科学画報』小説傑作選 1」つづき

『戦前「科学画報」小説傑作選 1』噴飯文庫2014年を読了。噴飯もの、と編者は 卑下しているが、突飛な発想モノばかりで、読み耽けってしまう。こういう 傍流モノにはなかなかお目にかかれない。愉快愉快。 《 吾々は火星からこの地球に向けて来たものである…

「戦前『科学画報』小説傑作選 1」

『戦前「科学画報」小説傑作選 1』噴飯文庫2014年、前半を読んだ。 石井重美「地下の人種」昭和二年から。 《 Yは、それから、Sの家族と一緒に、遠い有史以前の頃、既に この洞窟の中に住まっていた原始人類の遺跡や、驚嘆すべき爆発力を持った 原子力を…

「三つの棺」

昨日紹介、密室ミステリベスト10で一位に輝いたジョン・ディクスン・カー 『三つの棺』ハヤカワ文庫1995年12刷を読んだ。 《 この事件では、ごく短い時間の問題にかかっていたが、 それはなんと短い時間だったことだろう。事件の難問題が 時間のまちがいにあ…

日本的樹霊性

昨晩見た白砂勝敏氏の新作は、秋に画像が公開されると思う。拙論を掲載。 写真が一瞬を切り取る芸術として成立して以来、絵画には時間(物語性) を取り込んだ表現を創出する道が見出された。味戸ケイコさんのいくつかの絵には、 そんな時間性(物語性)が多…

「町かどのジム」

晩、白砂勝敏氏の車に同乗、氏の新作木彫造形作品を鑑賞。二メートルを超える 作品は今までと違って、三つの木材の寄せ木。新作を見ると、前の作品が 青かったな、と思う。洗練と逸脱あるいは異化。どんな選評が発せられるか、 楽しみ。 エリノア・ファージ…

「垂里冴子のお見合いと推理 vol.3」

山口雅也『垂里冴子のお見合いと推理 vol.3』講談社文庫2013年初版を読んだ。 中篇二篇を収録。三十路の娘垂里冴子(すいり・さえこ)の 《 見合いの度に事件が起きて縁談が壊れてしまう 》シリーズも三冊目。 前二作に較べて長くなったけれど物足りない印…

「チリ交列伝」

青富士。晩夏。 昨日訃報を知った伊藤昭久『チリ交列伝』ちくま文庫2005年初版を読んだ。 副題「古新聞・古雑誌、そして古本」。これは面白い。出久根達郎の解説の結び。 《 本書はそのタイトルの如く、ひと筋縄ではいかぬ、まことに複雑な 内容の一奇書であ…

「冷明集」

処暑。夏の暑さが峠を越す頃という意味。朝から雨。何日振りの雨だろう。 雨の日はオツムも体もまことに鈍くなる。晴動雨眠。雨は昼には止むが、 体は病んでいるような……昼寝。夏バテかあ。 追加のお知らせ。 明日はいよいよ・・・風の子夏のイベント イン長…

「戦前『科学画報』小説傑作選」

三島市の南隣、函南町の長光寺で催される子どもたちの仏画展の準備のお手伝いで、 昼前から出かける。女性陣がおにぎりを持っていくので、私は南瓜(かぼちゃ)を 朝煮る。冷ましてパックへ。 食事後、軸装された仏画五十九幅を本堂から庫裏までを使って展示…

「ハイデガー拾い読み 」つづき

《 こうして、〈本質存在(エッセンティア)〉を示す古代存在論の基本概念はすべて 制作行為に定位して形成されているのであり、その根底には〈存在=被制作的存在〉 という存在概念が据えられている、とハイデガーは主張するのである。 》 127頁 このくだり…

「ハイデガー拾い読み 」

木田元追悼の意を込めて『ハイデガー拾い読み』新潮文庫2012年初版の前半を読んだ。 哲学関連の本は、時間がかかる。 カントもハイデガーも未読だが、カントの『純粋理性批判』には誤訳があるという。 《 その「分析論」と「弁証論」のそれぞれの中心部に誤…

「カラット探偵事務所の事件簿 I 」

乾くるみ『カラット探偵事務所の事件簿 I 』PHP文芸文庫2011年8刷を読んだ。 語り手が高校生ではなく三十歳独身だといいねえ。大人だねえ。六篇を収録。 File1から File5、飛んで File20とは。何だろうと読み進めると、え〜〜! 叙述トリックにうまく…

「さよならの次にくる〈新学期編〉」

似鳥鶏『さよならの次にくる〈新学期編〉』創元推理文庫2009年初版を読んだ。 『さよならの次にくる〈卒業式編〉』の後編という扱いだが、この一冊だけでも楽しめるはず。ストーカー事件の二重底の真相など、前二作よりミステリ色が濃い。 文章はこなれてき…

「さよならの次にくる〈卒業式編〉」

似鳥鶏(にたどり・けい)『さよならの次にくる〈卒業式編〉』創元推理文庫 2011年3刷を読んだ。第一作『理由あって冬に出る』の続編。前作に較べて筆が上達。 《 小学校時代の記憶のうちこの部分だけが今ではマウスパッドの中央部分のごとく すり減っている…

「理由あって冬に出る」

夏祭り中日。黒山の人の海。茶髪はいずこ? ジジイの出る幕はないわと言いつつ、 理由もなく出て行ってしまうお祭り。 昨日ネットの見聞で引用した似鳥鶏(にたどり・けい)の 『理由(わけ)あって冬に出る』創元推理文庫2007年初版を読んだ。 丘の上にある…

「化烏」

前の道路では昨夜から露店の設置作業。朝も続き、昼前には見渡す かぎり露店の屋根屋根屋根。夏祭りだ。道を行く山車のお囃子に血が 騒ぐ。午後、友だちとひと歩き。暑い暑い、熱い熱い。女性だけの 山車はいいねえ。掛け声も華やぐ。 夏祭りに三嶋大社の境…

「日時計」

午前中テレビの取材で、源兵衛川と三島梅花藻の里で梅花藻の手入れ 作業。撮影終了後雨が降り出す。そのとき、台湾からの留学生に遭遇。 十九歳のカワイイ子。道々日本語で会話。三島の水と緑に感激したと。 住まいが新宿じゃあ、そりゃ感動だ。明日はお祭り…

「書物迷宮」

赤城毅の名は、毎日新聞2012年12月9日の「今週の本棚 2012年この3冊」 で、東大教授加藤陽子が赤城毅『書物審判(ランキジション)』講談社 ノベルスを挙げていて知った。 《 赤城毅の書物狩人シリーズは本好きにはたまらない。 》 踵を接するようにネット…

「書物狩人」つづき 

赤城毅『書物狩人(ル・シャスール)』講談社文庫2010年初版を読了。 第一篇のJ・F・ケネディ暗殺事件の「真相」、第二篇の秘匿された 聖書、第三篇のナポレオンの遺髪の挟まった本そして中国乾隆帝秘蔵の 書物。よくぞ大風呂敷を広げてくれた。人物造形も…

「書物狩人」 

赤城毅『書物狩人(ル・シャスール)』講談社文庫2010年初版を半分読んだ。四篇収録。のっけからJ・F・ケネディ暗殺事件の「真相」 が語られる。ほんとうかも知れない大風呂敷の陰謀話、いいねえ。 しかし、急用が入り、二篇を読んで中断。明日へ持ち越し…

「賢者の贈り物」 

台風接近。朝雨が上がって、それからは降ったり日が射したり。 雨上がりの蒸し暑さに、ちょっと外出しただけで汗だく。 石持浅海『賢者の贈り物』PHP研究所2008年初版を読んだ。十 短篇を収録。ある出来事、課題を巡って、さまざまな選択肢、解釈が でき…

「 林真紅郎と五つの謎 」

長崎原爆忌。ガザの惨状が重なる。 乾くるみ『 林真紅郎と五つの謎』カッパノベルス2003年初版を読んだ。 五つの短篇を収録。電車の中で読むのにちょうどいい。 銅版画家林由紀子さんから個展の案内状。大阪のワイアートギャラリーで 九月二日から。葉書に使…

「 ふたつめの月 」

近藤史恵『ふたつめの月』文春文庫2010年初版を読んだ。中篇三篇。 第二話「パレ−ドがやってくる」。 《 「十八」 》 《 「わたし、人を殺しちゃうかも」 》 《 「それは内緒。でも、このままだと殺しちゃう。どうすればいいと 思う?」 》 《 「それはやっ…

立秋

立秋。んなもんか、と突っ込みたくなる真夏の天気。赤とんぼに 遭遇。やはり夏は頂点を迎え、これから秋へ、ゆっくりと螺旋状に 落下してゆくのだろう。音楽を聴きたくなった。先月はたった一曲を CDでかけたのみ。なぜかファドの女王、故アマリア・ロドリ…

「 消えた玩具屋 」

エドマンド・クリスピン『消えた玩具屋』ハヤカワ・ポケット・ ミステリ1993年2刷を読んだ。1946(昭和21)年の作。1938年、 三十代の人気詩人が寝静まった深夜のオックスフォードへ着いた。 戸が開いていた暗い玩具屋に入ると、年配の女性の死体。詩人は 何…

「 古書殺人事件 」

マルコ・ペイジ『古書殺人事件』ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1985年改訂1版を読んだ。1938(昭和13)年の作。稀覯本をめぐる 殺人と古書店の裏話。稀覯本を美術品に、古書店を骨董店に 替えても成り立つ。コレクターの意地汚さは世界どこでも同じだ。 こじ…

「 モルグの女 」

昼過ぎに通り雨があったので、気温は30度に届かなかったが、 蒸し暑い一日だった。明日は熱中症に厳重注意。能登の輪島は 危険……。そりゃコワイ。 ジョナサン・ラティマー『モルグの女』ハヤカワ・ポケット・ ミステリ1979年2刷を読んだ。モルグ morgue と…

「 コンピューター404の殺人 」

E・D・ホック『コンピューター404の殺人』ハヤカワミステリ 文庫1980年初版を読んだ。1973年の作品。舞台は二十一世紀半ば。 アメリカとカナダは一緒になってアメリカ・カナダ合衆国になり、 ソ連(ロシア)と中国は露中共和国(ラソワ・チャイニーズ)…

「 サンドウィッチは銀座で 」

昨日、グラウンドワーク三島の別組織の、私が役員を努める株式 会社の事務所開きに参列、テープカット。新聞各社が取材。毎日、 静岡新聞朝刊を視認。 昨日、必要があって荒川洋治詩集『心理』みすず書房2005年初版 を手にしたのだけれど、一緒に持っていく…