2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『ぬばたまの夜、天の掃除器せまつてくる』

大岡信『ぬばたまの夜、天の掃除器せまつてくる』岩波書店1987年初版を読んだ。深い動揺はなかったが、 心の深い亀裂に気づかせる詩、それこそが私の求める詩だと、この詩集は私に気づかせた。印象的だったのが 「巻の九 われらの時代の風景画・論」。題名が…

「告知」「言葉の出現」

昨日触れた詩「告知」を『著作集』第二巻で読み、「言葉の出現」を第六巻で読んだ。第二巻収録の「告知」が 詩作品であるのに対して、第六巻の「言葉の出現」に掲載されている「告知」は、その推敲以前のノート(下書き)。 なお、詩「わが夜のいきものたち…

『わが夜のいきものたち』

大岡信のこんな記事に遭遇。 《 大岡信さんの詩において想像力と批評とがもっともスリリングに絡みあうのは、詩篇「告知」をめぐってでは ないでしょうか。大岡さんはまず、詩篇『わが夜のいきものたち』を発表し(1966)、ついでその制作の経緯を エッ…

『悲歌と祝祷』

曇天。こんな日はオツムが昼行灯。昼前、2日の割引セールまで待てない、ブックオフ長泉店へ自転車で行く。 文庫本を三冊。池田清・編『太平洋戦争全史』河出文庫2006年初版、保阪正康『昭和の戦争を読み解く』中公文庫 2006年初版、ジャン=パトリック・マン…

『故郷の水へのメッセージ』つづき

『故郷の水へのメッセージ』で最も印象的だった詩「凧の思想」全篇。 《 地上におれを縛りつける手があるから おれは空の階段をあがつていける 肩をゆすつて風に抵抗するたびに おれは空の懐ろへ一段一段深く吸はれる 地上におれを縛りつける手があるから お…

『故郷の水へのメッセージ』

大岡信詩集『故郷(こきやう)の水(みづ)へのメッセージ』花神社1989年初版を読んだ。 「微醺詩」1986年発表の結びの一行。 《 酒には品が必要だ 》 夕食後、コーヒーを飲んで思った。天国に酒がなくてもいいが、コーヒーがなければ天国に居たかないわ。 …

「音楽・触覚」

昨晩、大岡信ことば館で大岡信について語る集まりに初参加。まとめ役の岸井大輔氏や参加者が、若い人の 軽薄な思考を嘆いていたが、今が底でこれから反転していくだろうと楽観的な見方をしたのは、私一人だった。 どうして分かれたのか。岸井大輔氏は全国を…

「上品・下品、品格」

品のない美術作品。その言い方は、私にはあり得ない。美術作品と称される作品は、すべて品があるから。 品のない作品は、美術作品ではない、と私は考えている。 「上品中品下品」は仏教用語で「じょうぼん、ちゅうぼん、げぼん」と読む。この用語に出合った…

「アート嫌い」

一昨日昨日と「現代アート」という言葉をめぐって書いたけど、つまるところ私は現代アートなる作品が嫌い。 魅力を感じないならばいいが、違和感を禁じ得ない。感情は常に正しい、とは故平岡正明の発言だったと思うが、 半世紀ほど記憶に刻まれている。「芸…

「現代美術 現代アート」つづき

昨日触れた椹木野衣「空(そら)から空虚へ」の前頁は北澤憲昭「日本美術のミーム」。 《 美術という観点は「美術」という言葉とともに近代化の過程においてつくり出されたものであった。 》 《 しかし、現代の美術は、美術の限界を越えてひろがり、その定義…

「現代美術 現代アート」

10日の毎日新聞、「今週の本棚」に目を通す。「この三冊」は水村美苗・選「夏目漱石」。『坊っちゃん』 『三四郎』『明暗』。 《 実は漱石から三冊選ぶにあたってわざと避けた作品がある。『こころ』である。 》 以下その理由を述べて言う。 《 あんな部分を…

「購買欲・所有欲」

昼前、ブックオフ三島徳倉店へ自転車で行く。シャツ一枚で爽快。長谷川櫂『四季のうた 第二集』中公新書2006年 初版帯付、郡司正勝『かぶき発生史論集』岩波現代文庫2002年初版、中野晴行・編『マンガ家誕生。』ちくま文庫2004年 初版、藤田嗣治『腕(ブラ)…

『ベルリン・アレクサンダー広場』

アルフレート・デーブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場』河出書房新社2012年新装初版を読了。粗筋はウィキで。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%80%…

『暗黒怪奇短編集』

今朝、源兵衛川に関わるささやかな提案が、町内会長が責任問題をあげて却下したと、取り次いだ方が話される。 私個人で金を出して実施する予定で事前連絡したのだが。今降っている雨の気分。 きょうは雨と強風で外出無理と予想。で昨日、ブックオフ長泉店へ…

「シルクスクリーン」

昨日の内野まゆみさんの、彼女自身も摺りを手がけたシルクスクリーン作品を見て、まず感じたのは、お、 キレイだった。テディベアがどうのこうの、というより先に黒い線の美しさに眼を奪われた。シルクスクリーンは、 私の中ではそれまで版画としては視野の…

「描線の技芸」

昼前、源兵衛川下流部、一本松右岸の石垣のヒメツルソバを抜く。殆どが芽。昨夜の雨で湿っているのでスッと抜ける。 桜の花びらが長靴に点々と。シャツ一枚で汗ばむ初夏の陽気。小一時間で終了、帰宅。コーヒーを淹れている最中に電話。 抽出を諦め、電話に…

『終末から』

雨が止んだので昼前、源兵衛川上流部、ひろせ橋周辺に出始めたヒメツルソバを抜く。芽でも根は十センチほども。 以前根まで抜けなかったものは花が咲いている。ここはホタルの幼虫が土繭を作っていないから気楽。 明日で退職する女性二人から菓子折りを一人…

『塚本邦雄監修 現代詩コレクション』

『塚本邦雄監修 現代詩コレクション』書肆季節社1990年、直球、変化球、くせ玉、豪速球、いろいろな詩が ないまぜに。へえ〜と感心したり、わからねえなあ、と天を仰いだり、これはいいなあ、とうれしくなったり。 塚本邦雄の渉猟の広さにあらためて驚く。深…

「戦後詩十篇」

『塚本邦雄監修 現代詩コレクション』書肆季節社1990年、序文「さらば詞華、されば詞華」から。 《 昭和五十年刊「詩歌宇宙論」に収めた「邂逅秘蹟─戦後詩十選」は右の十篇である。 》 《 風と結婚式 石原吉郎 暦のうえの死 角田清文 ダラアの夜 相澤啓三 新…

『窓の現象』

一昨日味戸ケイコさんから恵まれた神原良詩集『オタモイ海岸』の表紙絵について昨夜感想を認め、今朝投函。 その中で藤村壮『窓の現象』書肆季節社1982年収録「箱のなかの窓」の後半を引用。以下全編。 《 みえるもののなかの みえないもの みえないもののな…

「面接は疲れる」

『塚本邦雄監修 現代詩コレクション』書肆季節社1990年には藤村壮の「ダミイ」「こぎと」「箱のなかの窓」 の三篇が採録。「こぎと」「箱のなかの窓」は『窓の現象』書肆季節社1982年初版2800円から採られている。 毎日新聞の時評だったと記憶するが、当時気…

「塚本邦雄」

昨日の『塚本邦雄監修 現代詩コレクション』書肆季節社1990年の序文「さらば詞華、されば詞華」結び。 《 詩人の運命、詩作品の評価について深く考へ、あまりにも不可解な要素の多さに立ち竦む。いつの日かまた、 輝けるマイナー・ポエットの詞華集が編みた…

「静かな花見」

昼前、三島梅花藻の里の奥、百坪ほどの空き地を三島市が買収したことを受けてグラウンドワーク三島が資金 一千万円余を調達し、公園化事業に着手。進捗状況を見に行く。専務理事、設計者、業者の三者が図面を見ながら 打ち合わせをしている。見回せば課題が…

「混沌とした本の劇場」

昨晩は友だちと三嶋大社へ夜桜見物に。輝く星と点滅する飛行機、夜を従えて艷麗妖艶凄艶が入り乱れる満開の桜。 お腹が空いたと友だちは、賑わう夜店のたこ焼きを食べる。これまた一興。 雨。午後一時、埼玉県から来訪された二人を源兵衛川へ少し案内。その…

「赤江瀑」

気の進まないことはやらない。最近(今朝)これだな、と思った。で、気の進むことをする。昼前ブックオフ長泉店へ 自転車で行く。町田康『猫にかまけて』講談社2004年初版帯付、『未完の横尾忠則』美術出版社2009年初版。計216円。 午後、源兵衛川の桜を見て…

『1980年代』

一昨日「アセクシュアル」が初耳だったけど、恥ずかしながらマチュア( MATURE )という言葉も最近知った。 成熟した、といった意味。成熟した女性に出会わなかったから知らなかった、と言ったらなんか飛んできそう。 反対語はアマチュア( AMATEURE )と思…

「アセクシュアル│官能的」

昨日リンクを貼った「アセクシュアル」は、初耳だった。そんな言葉があるとは。セクシュアルの対語の ようなものか。SEXSUAL(性的な) 対 ASEXSUAL(性とは無関係の)という英和辞典よりかなり広い意味世界。 《 「異性愛者の人が同性を恋愛対象として見な…

「花冷え」

昨日、白滝公園でのライヴ演奏会で隣の男性から声をかけられた。なんと拙ブログを読んでいらっしゃる。 そんな物好き(?)な方がいるとはビックリ仰天。恥ずかしいことは書けないわ。いや、書いているかもしれん。 けっこう抑えて書いているつもりだが。エ…

「味戸ケイコ」

昨日、使いそこなったもの。 《 結婚しました。 》 昨日昼前、近所のカフェ、リトルノの壁面に絵を飾った。安藤信哉の20号ほどの水彩画、上條陽子の素描、 木葉井悦子の水彩画、そして長谷川潔の銅版画(ドライポイント)。一日経ってどうかな、と様子を見…

『いちまき』

中野翠『いちまき ある家老の娘の物語』新潮社2015年初版を読んだ。いちまき(一巻)とは血族、一族のこと。 去年の毎日新聞、井波律子の評を読んで読みたくなっていた。まさか彼女の親戚筋が沼津市の知人とは。内容は幕末、 家老の娘に生まれた「みわ」の波…