2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『年鑑 日本のイラストレーション1972』(閑人亭日録)

昨日の『art now 現代の美術』の翌年1973年5月10日、同じ講談社から一回り大きい、さらに重い函入の堅牢本『年鑑 日本のイラストレーション1972』が刊行された。 収録作品は、1971年10月から1972年9月に発表された作品。昔、やなせたかしの文で味戸ケイコさ…

『art now 現代の美術』(閑人亭日録)

昨夜『art now 現代の美術』全12巻+別巻講談社1971年~1972年刊の通読を終了。20世紀の古典から1970年前後の新奇なものまで、言ってみりゃあ雑多な収録・・・ なんてことは、編集委員たちは当時考えもしなかっただろうな。『現代の美術 別巻 現代美術の思想…

『現代の美術 別巻 現代美術の思想』六(閑人亭日録)

『art now 現代の美術別巻 現代美術の思想 』高階秀爾・中原佑介/編、講談社1972年5月20日第1刷発行を少し読む。ミシェル・ラゴン「美と有用性、または 技術文明の魅惑について」を読んだ。メモ。《 見かけ上はあきらかに無益な、画家や彫刻家たちの追求こ…

『現代の美術 別巻 現代美術の思想』五(閑人亭日録)

『art now 現代の美術別巻 現代美術の思想 』高階秀爾・中原佑介/編、講談社1972年5月20日第1刷発行を少し読む。泉真也「ホワイト・アウト」からメモ。《 こうした物質の世界と精神の世界が相互にネット・ワーク的にある現代。古典的な意味での中心の喪失。…

『現代の美術 別巻 現代美術の思想』四(閑人亭日録)

『art now 現代の美術別巻 現代美術の思想 』高階秀爾・中原佑介/編、講談社1972年5月20日第1刷発行を少し読む。坂崎乙郎「現代芸術と想像力」からメモ。《 それはある意味で、ものの平衡関係をつくりだすことだったろう。モンドリアンですら、けっしてもの…

『現代の美術 別巻 現代美術の思想』三(閑人亭日録)

『art now 現代の美術別巻 現代美術の思想 』高階秀爾・中原佑介/編、講談社1972年5月20日第1刷発行を少し読む。ルーシー・R・リバード『エロス試論』からメモ。《 抽象を定義するなら、どちらかといえば理知的な知覚作用であり、したがって、直接的な肉体…

『現代の美術 別巻 現代美術の思想』ニ(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 別巻 現代美術の思想 』高階秀爾・中原佑介/編、講談社1972年5月20日第1刷発行を少し読む。高階秀爾「手さぐりする絵画」から。《 このような「レアリスム」の観念が崩れ去ったところに、現代美術のひとつの主要な特質があることは、…

『現代の美術 別巻 現代美術の思想』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術別巻 現代美術の思想 』講談社1972年5月20日第1刷発行を開く。高階秀爾・中原佑介/編。それまでの12册は左開き横書きだったが、この別巻は 右開き縦書き。内外の批評家の文章を収録。少し読む。最初の批評、ケネス・クラーク「しみと図…

『現代の美術 12 拡がるデザイン世界』続き(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 12 拡がるデザイン世界』講談社1972年3月10日第1刷発行を開く。《 「もの」を美しくすること、美術という。美しくする、とは立派にすることと同義である。立派さが判らぬとき、作者のネームや箱書が必要となる。無銘の絵画が無銘の ま…

『現代の美術 12 拡がるデザイン世界』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 12 拡がるデザイン世界』講談社1972年3月10日第1刷発行を開く。編著者六人。章立て。 はじめに 高階秀爾 1 グラフィズム幻影 粟津潔 2 建築の解体 磯崎新 3 ルポルタージュの復権 東松照明 4 映像の拡張 飯村隆彦 5 デザイン領域…

『現代の美術 11 行為に賭ける』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 11 行為に賭ける』講談社1972年4月28日第1刷発行を開く。編著者・針生一郎。章立て。 1 日常性の意識化──ハプニング 2 劇的空間──パフォーマンス・アート 3 状態と過程──コンセプチュアル・アート 4 位置と場──アース・ワーク エア…

『現代の美術 10 記号とイメージ』続き(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 10 記号とイメージ』講談社1971年9月20日第1刷発行を開く。編著者・針生一郎。昨日の続き。巻末の解説「言葉と言葉ならざるもの」から。《 かつて印象派が、遠近法という鏡の背後につきいろうとして、鏡をこなごなにうちくだいたとすれ…

『現代の美術 10 記号とイメージ』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 10 記号とイメージ』講談社1971年9月20日第1刷発行を開く。編著者・針生一郎。章立て。 1 身ぶりの軌跡──未知なるものの記号 2 複製されたイメージ a. 写真的映像 3 複製されたイメージ b. マンガによる衝撃 4 読まれる絵 見られ…

『現代の美術 9 構成する抽象』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 9 構成する抽象』講談社1971年9月20日第1刷発行を開く。編著者・藤枝晃雄。章立て。 1 抽象の流れに沿って 2 視覚としての抽象 3 造形からの離脱 4 ものと概念 5 視覚的な効果 巻末の解説「二つの抽象」から。《 現代芸術は、あ…

「人類最高の面白さ!」(閑人亭日録)

朝から出ていたので『現代の美術 9 構成する抽象』をろくに読めず。明日に繰越し。 東京杉並区からの視察、小学生、大学生、30人余を手分けしてまず楽寿園を案内。小浜池の水たまりに岩の上からカワセミが飛び込み、小魚をくわえて岩へ戻る。 白滝公園の…

『現代の美術 8 躍動する抽象』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 8 躍動する抽象』講談社1972年2月5日第1刷発行を開く。編著者・大岡信。章立て。 1 形の彼方の形を求めて 2 描くことの原型を求めて 3 「空間」概念の革新 4 風土と抽象 5 自然の拡張と深化《 一つには、19世紀における写真の発…

『現代の美術 7 集合の魔術』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 7 集合の魔術』講談社1971年7月25日第1刷発行を開く。編著者・高階秀爾。章立て。 1 魔術的集合 2 集合の構成 3 オブジェの集合 4 繰り返されるイメージ《 そのように、機械および機械文明の持つ美が認められたということは、芸術…

『現代の美術 6 主張するオブジェ』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 6 主張するオブジェ 』講談社1972年1月15日第1刷発行を開く。編著者・東野芳明。章立て。 1 物体と人間と 2 廃物の歌 3 商品と情報と 4 粗暴な物質の顔 巻末の東野芳明の解説、結びから。《 この問題提起は、これまで辿ってきた芸…

『現代の美術 5 つくられた自然』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 5 つくられた自然 』講談社1971年8月25日第1刷発行を開く。編著者・中原佑介。章立て。 1 失われた自然 2 パノラマとしての都市 3 タイヤのある夢──自動車 4 現代の小宇宙──室内 5 台所の幻想──食料品 6 家庭百貨──器具 7 も…

『現代の美術 4 ポップ人間登場』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 3 情念の間 』講談社は2日に取りあげたので、飛ばして『art now 現代の美術 4 ポップ人間登場』講談社1971年5月25日第1刷発行を開く。 編著者・東野芳明。章立て。 1 あっけらかんとした弔鐘──アメリカ 2 肉体否定の伝統──日本 3…

『現代の美術 2 幻想と人間』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 2 幻想と人間 』講談社1971年4月12日第1刷発行を開く。これはまた強烈な幻視力に満ちている。編著・岡田隆彦。章立て。 1 ユートピアと世界の終末 2 存在の秘密にせまる 3 原型的な幻想の展開 4 エロスの地平 5 イメージの計略 …

『現代の美術 1 先駆者たち』(閑人亭日録)

『art now 現代の美術 1 先駆者たち』講談社1971年11月20日第1刷発行を開く。編者は高階秀爾と中原佑介。高階秀爾「はじめに」から。《 第二次大戦後の世界の美術は、これまでの歴史にかつて見られなかったような多様な変貌を示している。戦後4半世紀のあ…

東京行きは見合わせ(閑人亭日録)

曇天の昼前、源兵衛川最下流部のヒメツルソバを抜く。土のう袋に目一杯詰め込んで帰宅。水を浴びる。ふう。やれやれ。 コロナ禍再燃で東京の個展へ行けない。 福山千佐子個展「花裂ける、廃絵逆めぐり」 https://kamomebooks.jp/gallery/3215.html 佐竹邦子…

白砂勝敏さんの流木造形作品(閑人亭日録)

昨日の白砂勝敏さんの流木造形作品を見て思い浮かんだ文章。《 「固い」ということは、動き「難い」ということです。固いと難いは同じコトバなのです。あいていれば何処へでもいけます。飛行機や劇場の席を予約するのも、 あいている場所を確保することです…

『野口体操・からだに貞(き)く』三(閑人亭日録)

野口三千三『野口体操・からだに貞(き)く』柏樹社1984年8版、「V 体操とは占いである」を読んだ。《 気(き)や気(怪・け)の非合理の世界に強い関心をもつ私は、常識的には醜悪感・嫌悪感をもってみられるような無生物・生物・人間の、形・色・臭・動き…

『野口体操・からだに貞(き)く』二(閑人亭日録)

野口三千三『野口体操・からだに貞(き)く』柏樹社1984年8版、「III からだとコトバの探検」を読んだ。《 ”動き”というものの原動力は、”重さ”だということは、文字を調べる前に私は気がついていましたけれども、それを四千年も昔に、蒼頡(そうけつ)たち…

『野口体操・からだに貞(き)く』(閑人亭日録)

野口三千三『野口体操・からだに貞(き)く』柏樹社1984年8版、「I 体操による人間変革」を読んだ。《 まず皮膚という薄い、柔らかい、大小無数の穴のあいている一つの生きた袋がある。そして、その中に液体がいっぱい入っていて、骨、内蔵、もちろん脳やな…

「かわいい」の向こう(閑人亭日録)

味戸ケイコさんの絵で「かわいい!」という絵は少ない。彼女の絵の少女、女性は、孤立、個立、個律の三つに分類できる。 http://web.thn.jp/kbi/ajie.htm 「かわいい」が席捲した平成時代。『日本美術全集 第19巻 戦後~1995 拡張する戦後美術』小学館2015年…

『「かわいい」論』再読(閑人亭日録)

昨日話題の”かわいい”から四方田犬彦『「かわいい」論』ちくま新書2006年1月10日初版を久しぶりに再読。冒頭。《 一九九四年のことであったが、イタリアのボローニャという大学町に滞在して映画史の勉強をしていたころ、(引用者・略)わたしが驚いたのはポ…

『ART NOW 現代の美術3 情念の人間』(閑人亭日録)

野村太郎・編『ART NOW 現代の美術3 情念の人間』講談社1971年6月25日第1刷発行を、今はない近所の古本屋で500円で買ったのは昭和の終わり頃か。”ART NOW”とは、 アートは今、といった意味だろう。”情念の人間”という題名に惹かれた。第二次大戦後25年間に…