2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『熊楠 生命と霊性』四(閑人亭日録)

安藤礼二『熊楠 生命と霊性』河出書房新社2020年初版、「神秘と抽象」を少し読んだ。これまた凄い展開だ。展開に追いつかない・・・。《 鈴木大拙の(一八七○─一九六六)の「霊性」と南方熊楠(一八六七─一九四一)の「曼荼羅」。 》 76頁《 大拙の「霊性」…

『熊楠 生命と霊性』三(閑人亭日録)

安藤礼二『熊楠 生命と霊性』河出書房新社2020年初版、「粘菌・曼荼羅・潜在意識」を読んだ。《 「夢」は混沌から秩序を生み出す。「もの」たちの重なり合いのなかから無数の論理の束、関係の束を導き出す。熊楠は、その生涯においても思想においても、互い…

『熊楠 生命と霊性』二(閑人亭日録)

安藤礼二『熊楠 生命と霊性』河出書房新社2020年初版、「粘菌・曼荼羅・潜在意識」を少し読んだ。《 宇宙そのものの基盤となる「一大理体」であるブラフマンから、森羅万象あらゆるものが「分身流出」してくる。万物は、ブラフマンから「流出」したがゆえ、 …

『熊楠 生命と霊性』(閑人亭日録)

安藤礼二『熊楠 生命と霊性』河出書房新社2020年初版、「粘菌・曼荼羅・潜在意識」を少し読む。のっけから直球勝負、ぐっと食い込んでくる。《 粘菌とは、太古から存続する原型的な生命体であり、そこから動物と植物が分かれ出てきたものである。 》 14-15頁…

読書一休み(閑人亭日録)

南方熊楠の平凡社東洋文庫五冊を読んで、きょうは読書お休み(の、つもり)。で、何気なく本棚から『南方熊楠全集 第七巻 書簡 I 』平凡社1982年5刷を抜いて開くと。《 世に贔屓の引き倒しということあり。あまりに自己の宝を吹聴せんとして、反って落とし破…

『南方熊楠文集 2』九(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 2』平凡社東洋文庫1979年初版、「鷲石考」「<付録>燕石考」を読んだ。《 しかし全くのところ、伝説はその原因があまりにも多様で複雑な点で、またそのために先行するものを後になって追加されたものから解きほぐしにくいという点…

『南方熊楠文集 2』八(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 2』平凡社東洋文庫1979年初版、「兄弟契り」「自分を観音と信じた人」を読んだ。《 東西人とも多分は、現代の世相人情を標準として、昔の譚を批判するから、少しも思いやりなく、一概に古伝旧説を、世にあり得べからざる仮托虚構で…

『南方熊楠文集 2』七(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 2』平凡社東洋文庫1979年初版、「邪視について」「千疋狼」を読んだ。《 吾輩お江戸で書生だった時、奥州仙台節が大流行で、正岡子規や秋山真之が必死にこれを習い、「上野で山下、芝では愛宕下、内のおかめは椽(たるき)の下、ざ…

『南方熊楠文集 2』六(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 2』平凡社東洋文庫1979年初版、「ひだる神」「読『一代男輪講』抄」「小鳥狩に梟が出る」「お寺小姓」を読んだ。 『美術手帖2021年8月号』は「特集 女性たちの美術史」。 https://bijutsu.press/books/4818/ この中に上條陽子さん…

『南方熊楠文集 2』五(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 2』平凡社東洋文庫1979年初版、「伝吉お六の話」を読んだ。《 勧学院の雀は『蒙求』を囀り、スパルタの豚は鈴音を聞けば隊伍に正して立った。それから南方先生方の銭亀、ヒキガイルは斗酒だも辞せぬ。道理で遊女道の壮んだった世に…

『南方熊楠文集 2』四(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 2』平凡社東洋文庫1979年初版、「巨樹の翁の話」を読んだ。《 予が現住宅地に大きな樟の樹あり。その下が快晴にも薄暗いばかり枝葉繁茂しおり、炎天にも熱からず、屋根も大風に損ぜず、急雨の節書斎から本宅へ走り往くを 掩護する…

『南方熊楠文集 2』三(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 2』平凡社東洋文庫1979年初版、「四神と十二神について」を読んだ。《 鎌倉幕府の代に成りし『東北院職人歌合』に、巫女、「君と我、口を寄せてぞねまほしき、鼓も腹も打ち敲きつつ」。それより前、平安朝の書『今昔物語』一九に、…

『南方熊楠文集 2』二(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 2』平凡社東洋文庫1979年初版、「幽霊の手足印」「オナガザルという獣の話」「鳴かぬ蛙」「白米城の話」「針売りのこと」「無言貿易」を 読んだ。《 秦の始帝は、地市を造り、生人をして死人を欺くを得ざらしむ。これ人の鬼と市(…

『南方熊楠文集 2』(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 2』平凡社東洋文庫1979年初版、「ヒジリという語」「竜燈について」を読んだ。後者から。《 天王教のシメオン尊者は紀元四六二年に六十九で円寂したが、四十七年の長いあいだ高さ五十四フィートの柱の尖に径三フィートの台を造り、…

『南方熊楠文集 1』十(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「話俗随筆(抄)」を読んだ。《 和歌山市に古く行われし笑話に、行商する者出立に臨み、かの所の右の方に鶯を描きおき、帰って見れば左に描けり。妻を詰(なじ)ると、鶯は谷渡りせりと答えし。 次に…

『南方熊楠文集 1』九(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「馬頭神について」「山神オコゼ魚を好むということ」「西暦九世紀の支那書に載せたるシンダレラ物語」 「睡眠中に霊魂抜け出づとの迷信」「猫一疋の力に大富となりし人の話」「今昔物語の研究」を読…

『南方熊楠文集 1』八(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「馬頭神について」「山神オコゼ魚を好むということ」「西暦九世紀の支那書に載せたるシンダレラ物語」 「睡眠中に霊魂抜け出づとの迷信」を読んだ。 午後、急に頼まれ、三十分後グラウンドワーク三島…

『南方熊楠文集 1』七(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「本邦における動物崇拝」を読んだ。《 伊豆三島の神、鰻を神使とする由、『明良洪範』、『東海道名所記』等に見えたり。 》 162頁 お盆のせいか、自分の略歴を記したくなった。 1950年誕生 1973年22…

『南方熊楠文集 1』六(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「小児と魔除」を読んだ。《 降って、本町二丁目の糸屋の娘、姉が二十一、妹が二十、この女二人は眼元で殺すという唄文句は、支那の「蛾眉(がび)は性を伐るの斧」の類で、僻辞なり。 別嬪どものため…

『南方熊楠文集 1』五(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「ダイダラホウシの足跡」「幽霊に足なしということ」「『大日本時代史』に載する古話三則」 「涅歯(でっし)について」を読んだ。 「涅歯」とは、歯を鉄漿(かね)で黒く染めること。 また、その歯。 …

『南方熊楠文集 1』四(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「履歴書」を読了。すこぶる面白し。笑ってしまうお色気噺が続く。《 小生はずいぶん名だたる大酒なりしが、九年前にこの家を購(か)うため和歌山に上(のぼ)る船中、感冒に伝染して肺炎を疾むこと…

『南方熊楠文集 1』三(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「履歴書」を少し読む。すこぶる面白し。《 古人はアレキサンドル大王が、時としてきわめて質素に、時としてはまた至って豪奢なりしを評して、極端なる二面を兼ねた人と評せしが、小生も左様で、一方…

『南方熊楠文集 1』二(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「履歴書」を少し読む。すこぶる面白し。《 いわゆる amateur (アマチュール)素人(しろうと)学問ながら、わが国でいわゆる素人浄瑠璃、素人角力と事かわり、ただその学問を糊口の方法とせぬという…

『南方熊楠文集 1』(閑人亭日録)

岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「履歴書」を少し読む。すこぶる面白し。《 近時大戦争中に連合国人はみなドイツを The Huns とよべり。実はハンスはドイツ人と何の関係なきものなるに、これらにて、事実とは全くちがいながら、この…

『南方熊楠』六(閑人亭日録)

鶴見和子『南方熊楠』講談社学術文庫1981年初刊、1981年2刷、「付録 神社合併反対意見」を読んだ。激烈にして冷静、精確なる正論述。《 金銭のみが財産にあらず、神社も社地も財産なり。地震、失火の際、神林によって生命、金銭を保安せる例多し。 》 262頁…

『南方熊楠』五(閑人亭日録)

鶴見和子『南方熊楠』講談社学術文庫1981年初刊、1981年2刷、「第三章 南方熊楠の仕事」を読んだ。《 南方には理論体系がないという批判があることは、すでに述べた。たしかに南方はその理論なり方法論なりを論文の形では発表しなかった。しかし、かれは、 …

『南方熊楠』四(閑人亭日録)

鶴見和子『南方熊楠』講談社学術文庫1981年初刊、1981年2刷、「第二章 南方熊楠の生涯」を読んだ。初心貫徹、破乱万丈と言える人生。身につまされる、というか。 苦労なさるなあ。けれども、彼を支える家族があった。《 どんな逆境にあっても、あるいは一見…

『南方熊楠』三(閑人亭日録)

鶴見和子『南方熊楠』講談社学術文庫1981年初刊、1981年2刷、「第一章 南方熊楠の世界」を読了。《 南方は、おもしろくてたまらないからこの学問に没入した。学位や名声をかちえようとしてする学問には創造性がない。知的好奇心よりする探求からこそ独創性が…

『南方熊楠』二(閑人亭日録)

鶴見和子『南方熊楠』講談社学術文庫1981年初刊、1981年2刷を少し読む。《 内容に立ちいって考えると南方の強みは、自分の経験及び自分で調べた資料にてらしあわせて、命題の妥当性をたしかめてみる、権威によって、たやすく信じることを しない、という点に…

『南方熊楠』(閑人亭日録)

『南方熊楠全集 7巻、8巻』平凡社、『南方熊楠文集 1巻、2巻』平凡社東洋文庫、『南方マンダラ』河出文庫、『南方民俗学』同、『南方熊楠を知る事典』講談社 現代新書を眺め、鶴見和子『南方熊楠』講談社学術文庫1981年初刊、1981年2刷を読むことにする…