2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「 日本沈没 」 

昨日の毎日新聞夕刊、記事。 《 「『日本沈没』読み奮起」 半村から小松への手紙 東京の SF展で初公開 》 《 世田谷文学館の「日本SF展・SFの国」で初公開されている。 》 《 便箋4枚にわたり、「一夜で読了しました」といい、ショックを 受けた感想…

「 バンビ 」 

先だってネット注文で購入した『母と子の名作文学26 ザルテン 「バンビ」』集英社1974年2版第1刷(1967年初版)は、ほとんどの ページに牧村慶子さんの挿絵。暑中見舞いにそのことを書いたら、 お返事が来た。 《 ”バンビ”は始めての単行本の仕事だったと…

「 チロルの秋 」 

朝、雲の上に富士山の頂上。乾いた風に秋の気配。まだ早い。 自宅前の道路は救急車がよく通る。朝だけで三回。熱中症ではないな。 ブックオフ長泉店で三冊。梅津有希子・文/高谷亜由・絵『終電ごはん』 幻冬舎2012年6刷帯付、H・F・セイント『透明人間の…

「 由利旗江 」 

石原千秋の以下の文を読んで、岸田國士(くにお)『由利旗江』を、 河出書房版『三代名作全集 岸田國士集』1941(昭和16)年初版で読んだ。 《 石井桃子が岸田國士『由利旗江』を好んだことを知って、やはりこの フェミニズム小説を評価した世代なのだと、改…

「 唯脳論 」 

養老孟司『唯脳論』青土社1998年31刷を読んだ。「唯脳論とは何か」 にはじまる前半はふむふむと学習モード。 《 ヒトの脳を、脳と呼ばれる器官の法則性という視点から、全般的に 眺めようとする立場を、唯脳論と呼ぼう。 》 13頁 《 しかし、脳に存在するの…

「 反文学論 」 

柄谷行人『反文学論』講談社学術文庫1995年8刷を読んだ。1977年-1978 年の二年ほど新聞に掲載された文芸時評集。文字通り反文学論だ。 《 しかし、いま何が必要かとむりに問われれば、私は「理論」だと 答えるだろう。(中略)すなわち文学理論ではなく、「…

ゴジラ滑り台

新幹線三島駅北口を出て左(西)へ五分ほど歩いていくと、土狩街道 に交差する。その交差点を左へ、新幹線を潜ると「御嶽堂公園入口」 バス停がある。 http://bustei.publicmap.jp/spot/357961 その脇には高さ五メ−トル位のコンクリート製の立方体建造物と「…

「 秀歌新選 」

嶋岡晨『秀歌新選』飯塚書店1983年初版を読んだ。1983年以前の数年 から選んだ秀歌二百首余に短い鑑賞文を付す。私好みを幾つか。 木枯らしの吹きこむ室に貼られいるモナリザは 日ごと水を恋うるも 王紅花 ブラウスに夕陽射しくる鋭(と)がりたる 乳房発火…

「 月の扉 」

石持浅海『月の扉』カッパノベルス2003年初版を再読。『玩具店の英雄』 『心臓と左手』で名推理を発揮した通称座間味君初登場。那覇空港でハイ ジャックされた機内のトイレで女が出血多量で死んだ。自殺ではなく他殺。 しかし、誰もその場にはいなかった。誰…

「 心臓と左手  座間味君の推理 」

昨日の石持浅海『玩具店の英雄 座間味君の推理』の前作に当たる 『心臓と左手 座間味君の推理』カッパノベルス2007年初版を読んだ。 七短篇を収録。『玩具店の英雄』とは違って警視と年下の座間味君、男 二人だけ、新宿の飲食店での会話で進む。あ、そうかも…

「 玩具店の英雄 」

石持浅海『玩具店の英雄 座間味くんの推理』光文社2012年初版を 読んだ。七短篇を収録。科学警察研究所で過去の事件の警備の成功と失敗の 分かれ目を分析をしている若い女性が、新宿の飲食店で年上の警視正と彼の 友だちの男性に落着した事件の内容を話すと…

「 絵画の二〇世紀 」つづき

前田英樹『絵画の二〇世紀』NHKブックス2004年初版を読了。後半は ピカソ、ジャコメッティそしてルオーが論じられる。前半同様、私にとって 新しい知見がいくつも開陳される。さわりを少し。 《 ピカソの絵は、歴史や社会を動かす無意識の記号作用と深く…

「 絵画の二〇世紀 」

前田英樹『絵画の二〇世紀』NHKブックス2004年初版、前半を読んだ。 ミレーの『落穂拾い』について。 《 落穂を拾う三人の農婦は、注意して見れば、まるで小さく動いている かのように映る。(中略)それは、この絵が人体の動きというものを凝縮 する力に…

「日本近代文学の起源」後半

《 これまでにもくりかえし述べたように、私は「文学史」を対象と しているのではなく、「文学」の起源を対象としている。 》 138頁 《 つまり結核菌は結核の「原因」ではない。ほとんどすべての人間が、 結核菌やその他の微生物病原体の感染をうける。われ…

「 日本近代文学の起源 」

柄谷行人『日本近代文学の起源』講談社文芸文庫1990年9刷を再読。 以前読んだときの感興がちらちらと浮かぶ。第一章「風景の発見」、 宇佐美圭司の文が引用されている。 《 山水画は、明治の、近代化を指導したフェノロサによって、命名 され、絵画表現のカ…

「 ムントゥリャサ通りで 」

ルーマニア生まれのミルチャ・エリアーデ(1907-1986)『ムントゥ リャサ通りで』法政大学出版局1977年初版を読んだ。1967年の発表。 ルーマニアの小学校の校長だったという老人の記憶に精密に刻み込まれた 驚異の出来事が、本筋から逸脱、再帰、逸脱、再帰…

「 ホーニヒベルガー博士の秘密 」

エリアーデ『ホーニヒベルガー博士の秘密』福武文庫1990年初版を読んだ。 表題作と「セランポーレの夜」を収録。表題作は、ルーマニアはブカレスト の邸宅で亡夫の遺した執筆の解読を依頼された男の不可思議な体験談。書庫 には膨大な貴重本が壁一面、天井ま…

「 インテリアと日本人 」つづき

《 茶室に壁が誕生したのは天正十〜十二(一五八二〜八四)年ころと されている。利休の「待庵(たいあん)」がその最初である。茶の湯の 想いを深めていった結果が壁の出現であろう。壁の出現は、日本の建築 空間にとって、とてつもない事件であった。日本…

「 インテリアと日本人 」

夜明けまで外は酔っ払いで賑やかだった。朝、クマゼミの声を聞く。 源兵衛川の月例清掃へ。魚影が濃い。午後は高校生と付き添いの源兵衛川 の生き物探しのお手伝い。どちらもぎりぎり雨に降られず。 内田繁『インテリアと日本人』晶文社2000年初版、前半を読…

「 私はどうして私なのか 」

大庭健『私はどうして私なのか 分析哲学による自我論入門』岩波現代 文庫2009年初版を読んだ。分析哲学がどういったものか、私は知らない。 《 こうしてデカルトは「我おもう、ゆえに我あり」という有名な言葉を 残した(これは「私が考えている。ゆえに私が…

「 日本の詩歌 」

台風八号、来そうなので昨夜からソワソワしていたのだけれど、未明に 目が覚めても雨も風もなし。昨夜の雨雲予想、ここだけ雲がない。当った。 台風一過の夏空。部屋は西向きなので冷房。設定29度。涼しい。 大岡信『日本の詩歌 その骨組みと素肌』岩波現…

「 名探偵の饗宴 」

山口雅也ら八人による競作『名探偵の饗宴』朝日新聞社1998年初版を 読んだ。一昨日の『金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲』とは違って、こちらは 作家自身が作った名探偵が活躍する短編集。自作の探偵だから当然生き生き している。本格からサイコ・ミステリまで…

「 愛句百句 」

金子兜太(とうた)『愛句百句』講談社1978年初版を読んだ。一昨日の 大岡信『百人百句』が名句百選にたいし、先立つ金子兜太は、名句では なく愛句百選。名句も秀句も佳句も一緒くたに愛する句。両者に選ばれた 俳人はいるが、提出句は違う。 《 一般にはあ…

「 金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲 」

自転車で外出したくならないはずだ。三島の最高気温は33度。自宅 待機だ。 小川勝己ら九人による競作『金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲』角川書店 2002年初版を読んだ。栗本薫、京極夏彦、服部まゆみ、柴田よしきなど。 「金田耕一、錦田一(はじめ)」有栖…

「 百人百句 」

大岡信『百人百句』講談社2001年4刷をあちこち読んだ。 《 炎天や死ねば離るゝ影法師 西島麦南 》 まず、この句が目に飛び込んできた。大岡信は書く。 《 人間に対してのあきらめ、諦念があったうえでの句である。 》 他に紹介されている句もいい。 雪だるま…

「 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 」

奥泉光『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』文藝春秋2011年初版を読んだ。 中篇三篇を収録。東大阪から千葉県の最低ランクの四年制大学に引き抜かれた桑潟 幸一准教授。彼に劣らず我執にとらわれた教授、准教授たち。苦笑を通り越して あきれる。 《 転…

「 クレーの絵本 」

谷川俊太郎『クレーの絵本』講談社1995年初版を読んだ。絵本というと児童向けの 絵本を思ってしまう。安っぽい印象をぬぐえない。「クレーの画集」あるいは 「クレーに寄せる詩」でもすれば、と思うのだけれど、理由があるのだろう。谷川は 巻末の「魂の住む…

「 夜のミッキー・マウス 」

谷川俊太郎『夜のミッキー・マウス』新潮社2003年初版を読んだ。上手い。 そして旨い。軽みと重みのバランスが絶妙にとれている。持ち重りする果実。 熟達の技だ。夜のミッキー・マウス。題名からして見事。冒頭一連。 《 夜のミッキー・マウスは 昼間より難…

「 ホック氏の異郷の冒険 」

何を読もうかな、と本の連山から目についた井上勝生『幕末・維新』岩波新書 2010年13刷を開くと、104頁にこんな記述。 《 初代イギリス公使オールコックの場合も同じである。オールコックは、 下関四国連合艦隊砲撃事件をリードした対日強硬派であり、日本を…

「 エール! 1 」

大崎梢ら六人の競作『エール! 1』実業之日本社文庫2012年初版を読んだ。 お疲れ気味の若い女性のお仕事小説。漫画家、通信講座の講師、プラネタリウム 解説員、店舗ディスプレイ・デザイナー、スポーツ・ライターそしてツアー・ コンダクター。みな、仕事…