2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「 光琳再び 」

昨日、MOA美術館の尾形光琳展へ再び行った。今回は電車とバスを乗り継いで。 『紅白梅図屏風』、『燕子花図屏風』、『白楽天屏風』の三作をじっくり鑑賞。スゲエわ。 アヴァンギャルドだ。印刷では気づかなかった配色の微妙な違い、水の流れ、海の泡など…

『 本覚坊遺文 』

井上靖『本覚坊遺文(ほんかくぼういぶん)』講談社1981年初版を再読。15日の「私の選ぶ 戦後文学ベスト3」に選出された小説。利休の死後、彼の弟子本覚坊の遺した利休についての文を 現代文に書き改めた、という形式の小説。本覚坊は、深い思索というよ…

『 教皇ヒュアキントス 』

昼前、ヴァーノン・リー『教皇ヒュアキントス』国書刊行会が届いたと、林由紀子さんから電話。 雨の中、即直行。さすがに美しい造本だ。特製栞と蔵書票も付いている。栞は、コンビニで購入した もののほうがいいわ。 http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/97843…

『 時に佇つ 』

佐多稲子『時に佇つ』1975年を河出文庫1982年初版で読んだ。15日の「私の選ぶ 戦後文学ベスト3」に選出された小説。十二の短篇から成る。 《 過ぎた年月というものは、ある情況にとっては、本当に過ぎたのであろうか。 》 「その四」 《 それは私をもふく…

『 光琳アート 』

昼前、源兵衛川上流部の人の通らない場所に沈殿している茶碗のカケラなどを拾う。 三十分ほどで二十キロ近く。重い。きょうはこれまで。 午後、知人の車に同乗、MOA美術館の『光琳アート 光琳と現代美術』展へ。じつに 興味深い展示だ。会田誠の屏風絵、…

『 抱擁家族 』

小島信夫『抱擁家族』(1965年刊)を講談社文庫1971年初版で読んだ。15日の「私の選ぶ 戦後文学ベスト3」に選出された小説。裏表紙の紹介から。 《 コキュの苦しみ、性のざわめき、そしてはかなく崩れてゆく家庭の絆──。〈愛〉〈性〉 〈死〉……この現代の…

『 夢の中での日常 』

島尾敏雄『夢の中での日常』(1956年)を再読。昨日の大岡昇平『武蔵野夫人』と同じく 15日の「私の選ぶ戦後文学ベスト3」に選出された小説。奇妙な痛ましい夢を描いた短篇だ。 ずっと引っかかっていることに「少年・少女の上限は何歳か」がある。この短…

『 武蔵野夫人 』

大岡昇平『武蔵野夫人』を読んだ。二組の夫婦と若い帰還兵の五人が織り成す恋情心理が、 微に入り細に入り描かれている。苦手な分野だ。鎌倉の邸を舞台にした川端康成『山の音』は、 この武蔵野を舞台にした小説を受けて書かれたような気がした。 昼まで、「…

『 一冊の本が人生を変える 』

昨日の書き忘れ。ブックオフ長泉店へ一箱、350円也。これで古本処分は一段落。 積読本の山脈に隠れていた本棚の下段から『文藝春秋 特別版 一冊の本が人生を変える』 1995年をぱらぱらと再読。特集「私を変えた一冊、支えた一冊」、私は何だろう。 中学生時…

「 雨水 」

昼前、明後日のサイクリング会で走る道の前半部をあらためて事前調査。温水池から一号線を 東へ走り、立体交差を迂回して、なるべく高低差のない道を選ぶ。箱根山の麓、谷田(やた) 地区へ。幹線道路から左へ入ると、昔ながらの狭い道とその横を流れる清流…

『風の歌を聴け』

村上春樹『風の歌を聴け』講談社1979年2刷を読んだ。昨日の安部公房『箱男』同様、 「戦後文学ベスト3」に挙げられていた作品。気障な科白がさりげなく軽く書かれている。 アメリカのハードボイルド小説を連想。1979年当時には珍しい表現だったのではないか…

『箱男』

安部公房『箱男』新潮社1973年初版を読んだ。一昨日話題にした「戦後文学ベスト3」に 挙げられていた作品。導入部の一節。 《 ぼくは今、この記録を箱のなかで書きはじめている。頭からかぶると、すっぽり、ちょうど 腰の辺まで届くダンボールの箱の中だ。 …

「 探索 裏道小道 」

昼前ブックオフ長泉店へ一箱。900円也。買いたい本はなし。午後グラウンドワーク三島の 依頼で、三島市南部を女子職員と一緒に自転車で三時間ほどまわる。自転車しか走れない道、 自転車を引いて歩くしかない丘沿いの細道、昭和三十年代を思わせる、深い轍の…

「 私の選ぶ戦後文学ベスト3 」

文芸評論家51名による「私の選ぶ戦後文学ベスト3」アンケートはじつに興味深い。 http://web.archive.org/web/19961108212224/http://www.kodansha.co.jp/gunzo_best3_kdnsha.html 菅野昭正は、大岡昇平『レイテ戦記』、丸谷才一『裏声で歌へ君が代』、大江…

『 人生に決まりごとなんてない 』

一昨日柿沼忍昭氏から恵まれた『人生に決まりごとなんてない』三笠書房2015年初版を読んだ。 だよなあ、とうなずく。 《 困ったときに、どうやってその場面を切り抜けようかと考えるから人は成長します。なんの問題もない ところに成長はありません。 》 42…

「 本の整理 」ゴール

昨日ふれた食堂「きみち」、ネットできちんと紹介されていた。看板は色あせて判読困難。 長光寺住職柿沼忍昭氏は、子どもたちに描かせたいね〜、と。たしかに。 http://ameblo.jp/unagiwasabi/entry-10872475502.html アニメのモデルの場所になったそうで、…

「 本の整理 」ゴールは近いぞ

昼前に風の子造形教室の池谷さんの車に友だちと同乗、函南町の長光寺へ。住職柿沼忍昭氏と 四人で、来月末に函南町立仏の里美術館のギャラリーで子どもたちの描いた仏画六十点ほどの 展示の打ち合わせ。掛け軸仕様の絵を前期後期の展示別に分ける。長光寺の…

「 本の整理 」ゴールはまだか

ブックオフ長泉店でダンボール一箱。1090円也。有栖川有栖『論理爆弾』講談社2012年初版帯付、 山室恭子『中世のなかに生まれた近世』講談社学術文庫2013年初版帯付、計216円。 スーパーで段ボール箱をもらってきて本を収納。笠井潔、京極夏彦、山口雅也の単…

「 本の整理 」道半ば

昼前、ブックオフ長泉店へ段ボール箱一箱と少し持って行く。980円也。芦辺拓 『スチームオペラ(蒸気都市探偵譚)』東京創元社2012年初版帯付、108円。午後は 本の分別と整理。講談社ミステリー・ランド、井上ひさし、ローレンス・ブロック、 ドナルド・E・ウ…

「 本の整理 」つづき

ブックオフ長泉店へ段ボール箱一箱を持って行く。900円也。芦辺拓『三百年の謎匣』 早川書房2005年初版帯付、宇田川武久『鉄砲伝来 兵器が語る近世の誕生』講談社 学術文庫2013年初版帯付、計216円。 帰りがけにスーパーに寄りダンボール箱をもらう。文庫本…

「 本の整理 」

昨日につづいて本の整理→処分本を段ボール箱二箱に詰める。殆どが小説の単行本。 既読未読いろいろ。全部百円本。箱に立てて入れると題名がわからない。悩まず処分できる。 雨なのでスーパーへ段ボール箱をもらいに行けず、昼はここまで。午後雨が上がったの…

『ヨーロッパの港町のどこかで』

松井邦雄『ヨーロッパの港町のどこかで』講談社1994年初版を読んだ。軽みのある文章だ。 くせがなく、恬淡としていて、すまし汁のような味わい。出された品をおいしくいただく。 それだけの、それだけで十分。 「始まりはタンジール」「マルセーユ」「オンフ…

「 本を整理する 」

富士山は真っ白。箱根山はうっすらと雪化粧。 ダンボール箱に入れたままになっている美術関係の本を整理。K美術館にこんなに美術本が あったとは。2Lペットボトルの箱などに収納したので背が見えず、確認しずらく重い。 平型の小さな段ボール箱に移す。背…

『 煙の殺意 』

泡坂妻夫『煙の殺意』講談社1980年を再読。途中で内容を思い出し、二重の味わい。巧いわ。 本格から倒叙、ユーモアからサスペンスまで、感心の八篇。私のこの一篇は「糀山訪雪図」だ、 やっぱり。 銅版画家林由紀子さんのツイート。 《 松井邦雄さん大好きだ…

『 亜愛一郎の狼狽』『亜愛一郎の転倒』

昨日引用したミステリ作家鳥飼否宇の「泡坂妻夫のベスト3」を再読。「ホロボの神」 「G線上の鼬」は『 亜愛一郎の狼狽』幻影城1978年初版で、「意外な遺骸」は『亜愛一郎の転倒』 角川書店1982年初版で再読。一篇を読むとその次の短篇もついつい読んでしま…

『 炎の造形』『造形と総合美』

先月末に引用した岡本太郎の以下の文。 《 光琳芸術の相反する対極はたがいにすこしも譲歩していない。この非妥協は矛盾に極度の緊張をあたえます。 》 これらの文章から北一明への連想が働いた。あらためて北一明『炎の造形 焼きもの新入門』 海山堂1985年…

「 対極 」

アルフレート・クービン『小説 対極 ─デーモンの幻想─』法政大学出版局1985年 新装初版を読んだ。1908年の出版。 語り手の画家はドイツ、ザルツブルグのギムナジウムで一緒だったパーテラの使いから 二十年ぶりに招待を受けた。運よく大富豪になったパーテラ…

「 日本の伝統 」つづき

岡本太郎『日本の伝統』光文社知恵の森文庫2006年2刷、後半「中世の庭」もまた じつに刺激的だ。 《 芸術は根源的な矛盾を秘めています。その緊張した統合のうえに、強烈な表情を かがやかせるのです。矛盾した要素の対立は芸術の本質であり、根本要素です。…