2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『のはらうた II 』

一昨日昨日の工藤直子のライト・ヴァース「てつがくのライオン」「ライオン」は、『工藤直子少年詩集 てつがくのライオン』理論社1982年に収録されている。工藤直子の名は『現代詩手帖』の年鑑で「てつがくのライオン」を読んで知った、と記憶していたが、手…

『いどの中』

昨日の『日本のライト・ヴァース』は四冊出ているが、私の所持しているのは、他に三冊目の岸田今日子・編『いどの中』 1981年初版のみ。岩佐東一郎、工藤直子、阪田寛夫がどちらにも選ばれている。岸田今日子は芸能人の詩、歌詞をよく選んでいる。 中島みゆ…

『煖爐棚上陳列品一覽』

気軽な詩を読みたくなり、谷川俊太郎・編『日本のライト・ヴァース1 煖爐棚上陳列品一覽』書肆山田1980年初版を本棚から抜く。 天野忠「虫」は読むたびに苦笑いが浮かぶ。その全編。 病気が癒ってしまい すっきりした腹の上に 新しい晒(さら)しをくるくる…

「美術とおカネ 全解剖」

昨日買った『週刊ダイヤモンド』(すごい名前だねえ)の特集「美術とおカネ 全解剖」を読んでみた。なにせ 謳い文句が「アートの裏側全部見せます。」。面白いインタビュー記事もあった。デジタルアート集団チームラボ代表 猪子寿之(いのこ・としゆき)。 …

『雪の練習生』

多和田葉子『雪の練習生』新潮文庫2013年初版を読んだ。紹介文。 《 サーカスの花形から作家に転身した「わたし」。娘の「トスカ」、その息子の「クヌート」へと繋がる、 ホッキョクグマ三代の物語。 》 まあ、そうなんだけどね。三代のホッキョクグマが書き…

真夜中が最高

一日降ったり止んだり。「やんだり」の第一変換が「病んだり」。PCは私を見ているのか。レンズはないよなあ。 そういえば携帯電話の写真撮影機能を試したこともない。そんな機能は無くてよい。そんな昨日は良かった。やはり 日光を浴びないと衰えつつある…

「ベルス」

昼過ぎ、電車を乗り継いでJR原駅へ。旧東海道を東へ歩いて十分足ほどで長興寺入口にきょう開店した「ベルス」。 緑茶を出すだけのお店は土、日のお昼時間に開く予定。あくまでも予定。一人暮らしの女主人に傘寿のお祝いの花束を贈る。 友人知人(女性ばっ…

『博士の愛した数式』

小川洋子『博士の愛した数式』新潮社2004年30刷を読んだ。十歳の子持ち、二十八歳の家政婦をしている未婚女性が、 六十四歳の元数学博士の家事の世話をする。その博士は、80分で記憶が失せる病気持ち。なんて発想だろう。 《 「本当に美しい証明は、一分の隙…

『袋小路の男』

絲山秋子『袋小路の男』講談社2006年10刷を読んだ。「袋小路の男」その続編「小田切孝の言い分」そして「アーリオ オーリオ」を収録。表題作は、昨日の川上弘美『センセイの鞄』の松浦寿輝の文がそのまま通じるような。 《 ここには、ただ、単純な言葉づかい…

『センセイの鞄』

川上弘美『センセイの鞄』平凡社2001年8刷を読んだ。帯の松浦寿輝の文が十全に語っている。 《 ここには、ただ、単純な言葉づかいで綴られたせつない愛の物語があり、そこかしこから、生きることのかけがえのない 喜びと豊かさと美しさが、馥郁と香り立って…

『花響(はなゆら)』ニ

稲葉真弓『花響(はなゆら)』平凡社2002年初版、後半も読んだ。二十三話それぞれに利渉重雄の銅版画の挿画。「第十六話 夢の椅子」には、私ももっている作品「夜を詠う巡遊の群」が使われている。 http://web.thn.jp/kbi/risho.htm 最終話「第二十三話 水に…

『花響(はなゆら)』一

某ツイッターで稲葉真弓が話題に。私と同年生まれ。亡くなっていたとは。ウィキから。 《 1992年、女優・作家の鈴木いづみとサックス奏者の阿部薫を描いた実名小説『エンドレス・ワルツ』で女流文学賞を受賞。 》 昨日ふれた鈴木いづみ。何年か前に亡くなっ…

『娼婦』

山田登世子『娼婦 誘惑のディスクール』日本文芸社1991年2刷を再読。四半世紀ぶりかな。読んだことは 覚えているけど、内容はすっかり忘れた。昨日の『ブランドの条件』が面白かったので。四章からなる第一章は 「肉の宝石」。平伏する章題だ。紙の宝石(蔵…

『ブランドの条件』

山田登世子『ブランドの条件』岩波新書2006年初版を読んだ。ルイ・ヴィトン、エルメスそしてシャネルの三つの ラグジュアリー・ブランドを主な対象にしている。ラグジュアリー=贅沢。昨日の石井淳蔵『ブランド 価値の創造』 ではコカ・コーラから洗剤まで日…

『ブランド』

石井淳蔵『ブランド 価値の創造』岩波新書2003年14刷を読んだ。ブランドと聞いて、とっさにはファッション・ブランド くらいしか思いつかない私にはとても興味深い本だった。しかし、十全に理解できたとはとても言えない。ブランドマジックの解明は、他の領…

「寺山修司18歳 情熱の書簡」

読売新聞朝刊に「寺山修司18歳 情熱の書簡」の記事。副題は「短歌編集長に宛てる」「短歌革命に賭けてみます」。歌人の 佐佐木幸綱はインタビューに答えて。 《 「若い世代への期待があった戦後、中井(英夫)さんが生きる意欲を持たせようと励まし、寺山が…

『日本文化における時間と空間』五

加藤周一『日本文化における時間と空間』岩波書店2016年19刷、「第3部 「今=ここ」の文化」を読んだ。これで読了。 『日本文学史序説』が扇の扇面とすれば、『日本文化における時間と空間』は扇の要だろう。 《 この本は日本の思想史について私の考えてき…

『日本文化における時間と空間』四

加藤周一『日本文化における時間と空間』岩波書店2016年19刷、「第2部 空間」を読んだ。卓見。 《 他方遠い外部からムラを訪れるのは、またムラ人の下位にあり、彼らから対等とはみなされない人々でもあった。 》 159頁 《 このようなムラ社会に典型的な内…

『日本文化における時間と空間』三

加藤周一『日本文化における時間と空間』岩波書店2016年19刷を読み進める。前半の「第一部 時間」を読了。慧眼だ。 深く考えさせられる。 《 なぜ豹変したか。維新前後、すなわち権力掌握前後で、状況が変ったからである。なぜ豹変することができたか。 「攘…

『日本文化における時間と空間』ニ

加藤周一『日本文化における時間と空間』岩波書店2016年19刷を読み進める。 《 うれひつつ丘にのぼれば花茨 では、丘へのぼるという行動の持続性が前提とされる。その時間の持続は、感覚ではなく感情の表現、「いれひつつ」 の成り立つ条件に他ならない。「…

『日本文化における時間と空間』一

加藤周一『日本文化における時間と空間』岩波書店2016年19刷を読み始める。2007年初刊。ロングセラーだ。 《 戦後日本の強い関心は、現在の与えられた枠組みのなかでの活動に集中され、未来の変化の可能性には向っていなかった。 》 2頁 《 誰にとっても、ど…

焼きもの

昨日の『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』平凡社1980年初版 「終章 戦後の状況」で印象に残ったくだり。 《 思想と人間との密接不可分な関係に立ち入るのは、寺田透その人のなかの詩人である。その二面から生みだされた 『道元の言語宇宙』は、たしかに…

『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』七

『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』平凡社1980年初版 「終章 戦後の状況」を読んだ。これで読了。ふう。 《 東京裁判の被告の言い分によれば、日本軍国主義の指導者たちは、誰一人として太平洋戦争を望んでいなかったにも拘らず、 太平洋戦争を始めたと…

『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』六

『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』平凡社1980年初版 「第一○章 第四の転換期 下」を読んだ。 《 いわゆる「大正デモクラシー」は、天皇制官僚国家の構造の民主化ではなく、帝国憲法の枠組みのなかでの政策の民主化、 または自由主義的な妥協である。同…

『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』五

『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』平凡社1980年初版 「第一○章 第四の転換期 下」を読んだ。 《 共同体への帰属と共同体の外にいかなる絶対者もみとめない価値観とを中心として築き上げられた日本的世界観の伝統の なかで、このような(内村)鑑三の信…

『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』四

午前、「やまだひろなが作陶展」の撤収作業のお手伝い。昼前に終わったので友だちと蕎麦で昼食。コーヒーを飲みに いつもの店リトルノへ行くと、当のやまだ氏も。次はここの壁を借りて掛花展をすると言う。 個展と言えば、白砂勝敏さんが来月、沼津市庄司美…

『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』三

午後、「やまだひろなが作陶展」へ。初日に一人用急須を、最終日のきょう、林由紀子さんが二十年前に絵付けをした 徳利を購入。彼女の絵付けのマグカップや小皿はもっているけど、徳利は知らなかった。会場に来た林さんが『黄色い雨』が よかった、犬の物語…

『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』ニ

午後、「やまだひろなが作陶展」へ。私は賑やかし=サクラ。 『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』平凡社1980年初版 「第九章 第四の転換期 上」を読んだ。 《 しかし明治維新は、「尊皇」や「攘夷」の思想の結果としてではなく、「尊皇」や「攘夷」を倒…

『加藤周一著作集5 日本文学史序説 下』一

昨夜、CD『 UMALALI 』オフィス・サンビーニャを贈った現代美術家大坪美穂さんからとても気に入ったとの電話。よかった。 明日からの企画展の準備に追われているなかで、とてもいい、と。「お返事は要りません」と書いて贈ったけど、うれしい。 http://str…

「ひと筆、一刷毛」

昨晩早めに風呂へ入り、湯上がりの心地よい気分で、昨日デザイナーの内野まゆみさんから恵まれた出来たての新作、三センチ四方の タイルにさっと描かれた草花の絵を鑑賞。じつに瑞々しい。一つくれると言うので悩んで選んだ一点が、一番いいと、褒められた。…