2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「近時片々」

朝、地震で目が覚め、ぼんやりしていた十時半、また地震。震源は箱根山。のんびり 寝てもいられない(寝ている時間か)。またまた搖れる。噴火〜。噴火〜といえば、 新幹線車内で火を浴びる人もいる。どちらもえらい迷惑だ。 昨日の手製スピーカー「スワン」…

「富士宮まちなかアートギャラリー」

富士宮市で開催中のまちなかアートギャラリーへ友だちと電車を乗り継いで行く。ニ店舗で 展示のイラストレーター、かたおかまなみさんの絵が目的。会うまでの時間、他の店の 十時孝好氏の木彫などを見て廻る。かたおかさんの知人のホールFUJIVISIO…

『 名残り火 てのひらの闇 II 』

藤原伊織『名残り火 てのひらの闇 II 』文春文庫2010年初版を読んだ。途中で 単行本を持っているのに気づいたが、そのまま文庫本で読み進めた。しかし、後半も 半ばを過ぎて、やっと再読であるのに気づいた。なんという記憶力の衰えよ。しかし、 シビレル、…

「 私信の分別 」

一昨日昨日と採りあげたPamのタイポグラフィ展、7月25日のシンポジウムには 東京から無料往復送迎バスが出る。おお、太っ腹。 http://www.tt-paper.co.jp/pam/info/pdf/20150527_info.pdf 一昨日の記事の続き。この三十余年に届いた大量の私信を分別。処分行…

『 名画感応術 』

昨日のPAMのタイポグラフィ展でとりわけ心に深く響いたのは、原弘(はら・ひろむ)の ポスター二点だった。その画像があった。これは欲しい! と思った。なんと肉感的な 三つの涙点だろう。トメ、ハネの肉感的躍動感。これぞ名作。また見に行くつもり。 h…

「 音楽の趣味は良い 」

昨夜は、手紙類とそれに類する紙モノを整理、多くの物を処分した。昨夜だけで小さな 段ボール箱六箱が空いた。名の知れた文人、画家からの手紙は内容を確認して選別、 一般人からの私的な手紙は殆どが処分行き。忘れられぬ容姿の人、全く思い出せぬ人……。 自…

「 俳句の弁証法的構造 」

『江古田文学44』特集「102年目の吉田一穂」2000年、加藤郁乎「講演『吉田一穂について』」 で、「8字型俳句構造論」が語られている。よくわからないのでその出典、吉田一穂「俳句の 弁証法的構造」(『吉田一穂大系 第二巻』収録)を読んでみた。 《 日本…

「 吉田一穂──極の誘い 」

渋沢孝輔「吉田一穂──極の誘い」(『螺旋の言語』思潮社2006年初版収録)を読んだ。 《 一見したところでは貧しげにさえ映りかねない吉田氏の詩業は、実はその一篇一篇が 新たな境地の開拓だったのであり、いったん獲得した方法の惰性的な応用といったものは…

『 冷明集 』

吉田一穂歌集『冷明集』コーベブックス1976年初版を再読。一首。 雨すぎし暁ちかみ室(へや)ぬちにぬれたる月の光りさしけり 《 詩人は海の民の後裔としてこのこの世に生をうけたのである。 》 と帯に推薦文を寄せている窪田般爾は、短歌について何も書いて…

『 白鳥 』

吉田一穂詩集『白鳥』コーベブックス1975年発行を再読。大きい活字でくっきりと印刷。 一行一行、一語一語が立体的に立ち上る。そんな経験はこれが初めて。未だに次がない。 帯文から。 《 詩の鍵の秘密を異文に託して今「白鳥」は未知より蘇る! 》 それを…

『 海の聖母 』

吉田一穂詩集『海の聖母』を読んだ。大正十五年に出た初刊本の、昭和四十八年の渡辺書店の 複製版で読もうとしたが、全集『日本の詩歌21』中央公論社1968年初版が最も読みやすく、 これで読んだ。「帆船」より。 雲 驟雨 貿易風 潮の急走 海は円を描く (…

『 生命とリズム 』つづき

《 われわれがなにごころなく自然に向かった時、そこでわれわれの五感に入ってくるものは 諸形象すなわちもろもろの”すがたかたち”であろう。 》 上記、昨日の引用から高浜虚子の俳句を思い浮かべた。 遠山に日の当りたる枯野かな 石ころも露けきものゝ一つ…

『 生命とリズム 』

三木成夫『生命とリズム』河出文庫2013年初版を読んだ。 《 われわれがなにごころなく自然に向かった時、そこでわれわれの五感に入ってくるものは 諸形象すなわちもろもろの”すがたかたち”であろう。(中略)これに対し、われわれが ある思惑をもって自然に…

『 内臓とこころ 』つづき

三木成夫『内臓とこころ』河出文庫2013年初版で、ほほうと特に感心したくだり。幼児の行動。 《 ですから、内蔵感覚といった場合、私どもは、この感覚がもっとも高度に分化した場所として、 この唇と舌を考えればいいわけです。 》 32頁 《 この”なめる”とい…

『 内臓とこころ 』

一昨日の椹木野衣と杉戸洋の対談を小山登美夫がパシャ。 《 会場から見るとこんな絵になってたのか…。 》 椹木野衣 https://twitter.com/tomiokoyama/status/609951327779553280/photo/1 私の禿頭が……。反響音がひどく、ろくに聞き取れなかったことはナイシ…

『 遊読記 』後編

昨日一緒にビュッフェ美術館へ行った内野まゆみさんがネットにあげた文の結び。 《 私たちがお茶を飲んでいる間中、杉戸洋氏は絵本を買ってくれた方にサイン会。 長蛇の列がなかなか短くならない。5人でのぞき込むと一人一人に聞きながらイメージにあわせな…

『 遊読記 』前編

昨日種村季弘に触れ、種村季弘『遊読記』河出書房新社1992年初版を開いた。主に朝日新聞に 書いた書評集。二ページに一冊の評。たった二ページにどれだけの仕込みがなされているのだろう。 文章という氷山の海面下にはその十倍の質量が、海上部を下支えして…

「洲之内徹の文章作法」

昨夜は洲之内徹の著作で名前のあがっていた、ジャズ・サックス奏者ジョン・コルトレーン、 ソニー・ロリンズそしてブルース歌手ベッシー・シミスらのレコードをかけず、椅子に沈んで 日本酒を少し呑んだ。雨の止んだ金曜の夜、外では浮かれた酔っぱらい達が…

『さらば気まぐれ美術館』

洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』新潮社1988年4刷を読了。 《 そこからテンポということを私は考えたのだ。音楽の理論については全然何も知らない私が こんなことを言ってよいかどうか分らないが、ベッシー・スミスの歌では、テンポは彼女の内に あるのだ。…

「深さの曲線」

昨日引用した洲之内徹の文。 《 一つの音から次の音へ移る間に、音がどれだけの深さの曲線を描いているかがリズムだ。 》 これにうんうんと相槌を打ってくれる人がどれほどいるだろう。深さの曲線。すごい言葉だ。 よく行く店で壁にお茶室で掛け軸に使う古い…

「絵が聞こえる」

ジャズの話題はまだ続いていた。「絵が聞こえる」の章。 《 言い訳にもならないのだが、去年の秋以来、私は一日に何時間という具合には眠っていない。 夜昼構わずレコードを聴き、もうとても起きていられないというところまで聴いてそこでゴロ寝する。 気ま…

「新鮮で生き生きした空間」

雨が止んだと思ったら切れの悪いナントカのようにちょぼちょぼと、途切れ途切れに降る。 梅雨だ。気合を入れていた午後の用事がなくなって拍子抜け。本でも読むか。 昨日につづき、洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』新潮社1988年4刷を少し読む。 新宮晋の風…

「そして、この自由」

洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』新潮社1988年4刷、二篇目「マドリードからの手紙」は、 イタリアの画家ジョルジョ・モランディへの論及。 《 そういうものを見ているうちに、われながら唐突だとは思うけれども、いつの間にか、 虚と実という概念が私に生ま…

『 古韻余響 I 』

昨日の中村真一郎『俳句のたのしみ』新潮文庫のくだり。 《 これらの句では、言葉が実に、長年、伝統的に使い慣れたものとしての、 古雅な趣きをおのずと発揮して、そこにある生活の雰囲気──それは江戸の中期以後の 平和で爛熟した時間の余響を、私たちに喚…

『 俳句のたのしみ 』

昨日の小森収・編『ベスト・ミステリ論18』宝島社新書を読んで、そこで紹介されている 谷崎潤一郎『途上』、パトリック・クウェンティン『わが子は殺人者』、ジョー・ゴアス 『ハメット』を読もうかと本を見たが、どうもその気にならず、本棚を流して薄い…

『 ベスト・ミステリ論18 』

女の誘惑は振り切ることができるが、コアントローの誘惑には負けた。昨夕近所の酒屋で 中壜を購入。夜、さあ、これで後は寝るだけ、と準備をしてリキュールグラスに冷蔵庫で 冷やしたコアントローを注ぐ。トクトクトク。いい音だ。ぐいっといく。うーん、シ…

『 幽霊船 』

今日泊亜蘭翻訳怪奇コレクション『幽靈船』盛林堂ミステリアス文庫2015年初版を読んだ。 三篇を収録。リチャード・ミルトンの表題作は、嵐に流されて畑に乗り上げた幽霊船の話。 ユーモアと粋な会話で面白かった。 ブックオフ長泉店で文庫を四冊。乾くるみ『…

『人魚を見た人』つづき

一日雨。洲之内徹『人魚を見た人』新潮社1994年5刷を読了。 《 先程からの引用の続きだが、松本さんは「今年の十月のある日、都の美術館で開催中の 《日本銅版画史展》を見に行った。先に展覧会を見た知人から、司馬江漢の『中洲夕涼図』 があると教えられた…

『人魚を見た人』

洲之内徹『人魚を見た人』新潮社1994年5刷、前半を読んだ。田中岑(たかし)の絵について。 《 色が光なのだ。色は空間そのものでもある。(中略)すると岑さんは、風光という言葉が 日本語にはあるだろう、あの光だよと言い、もうひとつ景色という言葉を持…

「線描、描線の魅力」短歌篇

一昨日昨日にふれた内野まゆみさんの名刺が大好評。通常よりちょっと細めの紙に手描きで 草や模様が筆一筋で描かれている。何枚かを相手に見せて好きなものを選んでもらう。 某デザイナーは、迷ってしまう、と二枚もらっていた。そういうテがあったかあ。す…